先週金曜日(6月7日)から土曜日にかけて、米国カリフォルニアでオバマ大統領と習近平国家主席の首脳会談が行われた。
両首脳は、核武装をした北朝鮮、サイバースパイ問題、地球温暖化、自由貿易、人権問題を含む諸問題について話し合った。会談後習近平主席は「大国関係の新しいモデル」ということを強調したが、オバマ大統領は「長い時間をかけて討論を重ね、具体化しなければならない多くの課題がある」と慎重な姿勢を示した。
日本人として特に気になる問題は、尖閣諸島問題についてどのようなことが話されたか?ということだ。NHK(ネット版)は「オバマ大統領は習近平主席に日中両国は外交手段を通じて問題解決を図り、緊張を高めないことを要請した」と報じている(ドニロン大統領補佐官の談話)。
一方ニューヨーク・タイムズはLittle was said publicly about the range of other issues that have confronted the two coutries, inclueding a raft of maritime territorial disputes between China and Japan, Vietnam and the Philippines・・・(中国と日本、ベトナム、フィリッピンの間の領土紛争を含むその他の問題については、ほとんど公的な発表はなかった)と述べている。
中国のパートナーという立場とアジアの同盟国の防波堤という立場を持つ米国にとってこれは中々微妙な問題であり、討論内容は公表されなかったという見方が正しいだろう。我々が知りたいことは「オバマ大統領が領土問題の平和的解決を求めた」ということより、それに対して習近平主席がどう答えたか?ということなのだが、その答は公表されていない。
だが、少し前に英国の国際戦略研究所がシンガポールで行った会議で人民解放軍の戚建国副総参謀長が鄧小平の「尖閣問題は次世代の解決に期待して棚上げするべきだ」という持論を繰り返したと報じられているから、習近平主席が同様の主張を行った可能性は高い。推測の範囲だが。
サイバースパイ問題など平行線をたどったと報じられる問題もあるが、具体的に成果が出てきたのは、中国が北朝鮮をおとなしくさせたことだ。北朝鮮は今日にも6年ぶりに韓国と閣僚レベルの会談を持つ予定だ。
国家主席就任早々に党軍事委員会主席を兼務して、軍権も掌握した習近平主席の実力が示された案件と考えて良いだろう。それだけに仮に習近平主席が「尖閣問題は棚上げ」と主張した時にオバマ大統領がどう答えたかは知りたいところである。
政治も外交も生き物だ。少し前までは中国はTPPは米国による中国封じ込め施策だ、と批判していたが最近は中国の経済改革に有効な手段ではないか?という意見も中国内ででていると聞く。
発表されたことより発表されなかったことの方が気になる米中首脳会談だった。
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