ニューヨーク・タイムズを見ていると、米国特に西海岸などで、現金を持った投資家が居住用不動産に殺到し、その結果物件価格が上昇して、初めて住宅を買う人間には取得が難しくなっているという記事が出ていた。
居住用不動産を現金でポンと買うことが出来るのは投資家だ。自己使用目的で住宅を買う人は通常ローンを組むが、ローンがまとまるまでに時間がかかるため、入札競争でキャッシュリッチな投資家に負けてしまうケースが多い。
例えばマイアミでは住宅用不動産をポンとキャッシュで買う人が6年前(2007年)には2割以下だったが、現在では現金取引が65%を占めている。現金取引が増えるにつれて、住宅の現金取引価格も急上昇している。ニューヨーク・タイムズによると、ロス・アンゼルスの09年の住宅現金取引価格の平均は230千ドルだったが、今年は351千ドルに上昇している。上昇幅は121千ドルだ。この間の全住宅物件の価格は85千ドル上昇して410千ドルになったというから、投資家が買いに入った現金取引物件の値上がりが激しいことがわかる。
この前まで回復の足取りが懸念されていた米国の住宅市場だが、回復の兆しが見え始めると、先読みする投資家が買いを入れるので、価格の上昇ピッチは早くなっている。
これを腰の入った景気回復の兆しと見るか、不動産価格の上昇を見込んだ投機筋によるミニバブル的な現象と見るべきかはもう少し様子をみないと判断しにくい。だが株価の急激な上昇の後、投資対象を求めて、お金が居住用不動産に勢い良く流れ込んでいる、という事実は把握しておくのが良いだろう。
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