「観光ブームにより地元住民の生活が脅かされている」といえば、インバウンド観光客に市民の足であるバス便を奪われた京都の話か?と思うがそうではない。
世界的に見ると、大量のアメリカ人観光客が押し寄せているスペインやポルトガルなど南欧が大きな話題になっているようだ。
WSJにEurope has a new economic engine: American touristsという記事が出ていた。
記事のポイントは次のような点だ。「アメリカ人観光客の増加により、南欧全体で観光業が成長し、観光業はイタリア、スペイン、ギリシア、ポルトガルで経済成長の主要因になっている。たとえばスペインの最近の経済成長の3/4近くは観光業に関連しているし、新規雇用の1/4も観光業関係だ。
一方観光ブームにより生活費が上昇し、地元住民が困難に直面している。
また経済学者などの中には、国の経済が生産性が低い観光業に依存し過ぎると、高付加価値産業への投資が阻害され、長期的な経済成長や高いレベルの社会福祉の実現が困難になると警鐘を鳴らす人もいる。
記事を読んでいくとBeach diseaseという言葉に出会う。「ビーチ病」ということだが、目先の利益を求めて、観光業に資金や人的資源を過剰に投入することで、経済の足腰を弱くすることを指すようだ。もっともあまり一般的ではなく、グーグル検索などにもまだ登場しないようだ。
日本では1980年代に社員旅行を当て込んで、熱海、水上、鬼怒川などに団体客向けホテルが大量に建設されたことがあった。だがそれらのホテルの多くのは社員旅行の終焉とともに、廃墟化している。
観光ブームというのは、押し寄せるのも早いが引くのも早いということの例だろう。
押し寄せる波に乗っていかないと稼げないが、乗り過ぎると痛い目を見る。
中々難しいものだと思う次第。
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