金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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Shower climbingは和製英語ですか?

2014年05月08日 | 

先日後輩のYさんが、四国の常滑渓谷でキャニオニングを楽しんでいる写真にコメントしたら、Yさんから「Shower Climbingは和製英語ですか?」という質問がきたので、今日はその件を少し考察してみたい。

ところで10歳ほど年下のYさんは私の大学山岳部の後輩で、会社の後輩でもある(正確にいうとそれぞれ違う銀行に働いていたが合併して今は同じ銀行になっている)。また年金基金等が運用する有価証券資産の管理を行うという業務を通じて一緒に働いたこともあるので、誠に因縁浅からざる山仲間である。

さてShower climbingとは何か?というと「沢登り」で滝の水が落下する中を登ることを指す。ただし英々辞書や検索サイトで調べても出てこない(沢登りを英語で説明したサイトにはあったが)ので、和製の言葉だろう。

このことは後述するとしてまず沢登りについて説明しよう。沢登りとは山から流れる渓流にそって道のないところを歩き、時には泳ぎながら登っていく登山の一手法である。下の写真は谷川岳の隣の西黒沢を登っているところの写真だが、このようなところを登っていく訳だ。

Sawa1_2

Shower climbingというのは、滝の飛沫の中を登るものだ。

Fall

写真はナルミズ沢の魚留の滝(イワナはこの滝を登れないのでこれより上流に魚はいない)を登っているもので、水の流れを避けて右側(左岸という)を登っているが、もし左側のシャワーの中を登ると完全はShower climbingになる。しかし落ちてくる滝の水をまともに浴びながら登るのは、辛いし危険なので、通常は避けることができるなら飛沫の緩いところをルートに取っている(ものすごく暑い日に冷却のためShower climbingをすることはあるが)。

次に和製英語について考えてみると私は二つのパターンがあると思っている。一つは日本人が勝手に使っている単語の組み合わせで英米人には通じないものだ。例としてはガソリンスタンドだ。これは米語ではGas stationと言わないと通じない。

もう一つは英米に概念そのものがないので、日本人が造語したというものだ。私が調べた限りではShower climbingは後者である。

どういうことか?というと米国では「沢登り」は一般的でなく「沢下り」が一般的なのである。日本では下流から遡るが米国では上流からライフジャケットを着て、滝壺に飛び込んだり、危険な場所ではロープにぶら下がって降りる(懸垂下降という)というのが一般的。

これをキャニオニングcanyoning(英語)、米語ではcanyoneeringという。ちなみに日本のように「沢を登る」方はriver tracingというようだ。

沢を登るか降るかの違いはあるが、両方ともriver trekkingのサブカテゴリーだ。このriver trekkingあるいはキャニオニングは世界的に大流行りになっている。それは何故かというと、キャニオニングが数少ない本当のスポーツだからである。

アーネスト・ヘミングウエイはAuto racing,bull fighting,mountain climbing and canyoneering are the only real sports......all others are gamesと書いている。

つまりキャニオニング~沢を登るにしろ下るにしろ~は、闘牛や登山と並んで本当の(つまり命がけの)スポーツで、他のスポーツのようなゲームではないということだ。

楽しい遊びだがくれぐれもご用心あれ。

さて上記のようなことを踏まえて、shower climbingが和製英語か?どうかというと、日本製かもしれないが、Shower climbing of waterfallsと言えば完璧に通じると私は思っている。

もっとも言葉はどんどん変化している。過労死のように有難くない言葉が英語になったように、世界中で日本風の「沢登り」とShower climbingが盛んになればShower climbingだけで立派な英語になる日が来ると私は思っている。

 

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