金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

FED(連銀)が好きなPCE(個人消費支出)

2013年05月02日 | 金融

タイトルを見て「ああ、あのことか」とピンとくる人は米国金融事情に詳しい人でこのエントリーを読む必要はないだろう。だがFEDだPCEだと三文字アルファベットが並んでなんおこっちゃ?と思われる方はちょっと立ち寄って頂いたら多少参考になる話である。

FEDはFederal Reserve Board 連邦準備制度理事会の略。FEDはまたFederal Reserve Bank 連邦準備銀行の略でもある。( )の中に連銀と書いたが正確には準備制度理事会の方が良さそうだ。

PCEはPersonal Consumption Expenditures個人消費支出の略だ。今日の話は連銀は個人消費支出デフレーター(物価指数)をCPIデフレーターよりもインフレ判断に重視するという話である。CPIはConsumer Price Index(消費者物価指数)で労働省が毎月発表している。一方PCEデフレーターは商務省が発表している。

CPIとPCEの主な違いは次の点だ。

・PCEはCPIより消費者行動の変化を迅速にとらえて計算方法を変える。たとえば消費者が高額商品から廉価品にシフトした場合、PCEでは迅速に物価上昇を低下を示すがCPIではそうならない。

・住宅コストはCPIの31%のウェイトを占めるがPCEでは16%のウェイトしかない。したがって最近の家賃の急上昇はCPIをPCEより高く押し上げる。

・公的・民間医療保険費のウェイトはPCEの方がCPIより高い。したがってこの点ではPCEによる物価上昇率の方がCPIによるそれよりも高く出る傾向がある。ただし総合的に見るとCPIによる物価上昇率の方がPCEによるそれよりも高くでる傾向にある。

四半期ベースで見ると2011年以降CPIの方がPCEより0.4%高かったという。

昨日終わったFOMC連邦公開市場委員会の後、連銀は物価上昇率が連銀目標の2%よりかなり低いことも理由にあげて、ゼロ金利の据え置きや毎月850億ドルの債券購入を続けると発表した。

連銀が2%程度のインフレにこだわる理由の一つは物価上昇率より金利が低いと家計や企業が借金をしてでも支出を増やそうとしてそれが経済成長と雇用拡大につながると信じているからである。

ブルンバーグによると連銀がCPIよりPCEを選好する理由はPCEの方が物価上昇率が低く出るので、金融緩和のアクセルを踏み続けやすい、ということである。

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