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米、税制改正法案年末までには成立すると予想~ムニューチン財務長官

2017年11月11日 | ニュース

先週は米国の税制改革法案が可決されるかどうか?という問題が米国株式市場を揺さぶった1週間だった。

大きな売りは木曜日に出た。昨日金曜日は比較的小動きだったが、ダウは39.73ポイント(0.17%)下げて取引を終了した。

この結果ダウとS&P500は8週間連続の週ベースの値上がりを一端止めることになった。8週連続の値上がりは2013年以来とのこと。

さて木金と2日続けての株価下落は相場転換の兆しなのだろうか?

WSJはキャピトル・セキュリティ・マネジメントのチーフ・エコノミストKent Engeleの言葉を紹介していた。

"Is this the beginnig of the end? The last two day's selloff, I am not concerned."

「終わりの始まりだって? 私はここ2日の売り攻勢なんて気にしていないよ」

しかし彼は税制改正法案、特に企業減税法案が今後数カ月の間に立法化されないと市場にはもっと大きな振幅が起こり得ると述べている。

税制改正法案の行方は、当面相場が安定するかどうかのキーポイントだ。

昨日ムニューチン財務長官は、Fox Business Neworkのインタビューで、「税制改正法案は年内に成立する可能性が高い」と述べた。

WSJの記事のタイトルはTreasury Secretary says Tax bill on track for completion next monthである。Expectは「かなりの確信と理由をもってことが起きると予想する」という意味を持つので、財務長官は法案成立にかなり自信を持っていると判断できる。

現在下院で審議されている法案と上院が今月9日に発表した減税案では幾つかの違いがある。

大きなところでは、法人税については下院案は2018年から20%に減税するというものだが、上院案では2019年まで減税を先延ばしすることになっている。

個人の税制では、下院案が医療費控除を廃止するというのに対し、上院案は医療費控除を残すという点に大きな違いがある。

医療費控除の有無は、保険でカバーされない慢性病患者にとっては大きな問題だ。

下院案と上院案の間には、その他幾つかの違いがある。しかしムニューチン氏は「税制改正の方向感~例えば法人税の減税や所得税における所得控除の簡素化~などは同じなので、妥協点を見出すことに高い自信を持っている」と述べている。

税制改正においては、これが正解という一つの答がある訳ではない。押したり引いたりの交渉と妥協の産物とみるべきだろう。

とすればムニューチン財務長官の「予想」は正しい可能性が高いと私は考えている。

もっとも税制改革案の可決が株式相場にとって新たな買い材料になるか?というとそれは別の話である。市場は税制改正を織り込んできたので、買い材料になるよりは、達成感から相場は重たくなるかもしれない。

12月には多くのヘッジファンドが決算を迎える。仮に法案が年内に可決される目処が立っても、市場は「次の何か?」を材料にして今までより振幅幅が大きくなるのではないか?という予想を私は持っている。もっともこの「予想」はExpectではなく、guess程度の話なのだが。

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