金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

金利高、ドル高、アメリカ市場は世の中の動きに反応する健全さがある

2021年03月11日 | 投資
 新型コロナ対策で世界中の国は金融緩和に動き凄まじいお金が家計に流れ込んでいる。流れ込んでいるお金の源流は借金である。誰からの借金か?というと将来の自分たちの家計や企業利益からの借金である。つまりTax payer's moneyからの借金だ。この借金を国が真面目に返済しようとするとインフレ政策を取るしかない。仮に10年にわたって物価が毎年2%上昇すると、今100円だった商品は10年後には122円弱になっている。つまりお金の価値は約82%に減っている訳だ。物価や給料が上昇すると税収はそれに伴って増えるが、借金の額は額面なので増えない。だから実質的には物価上昇によって借金を2割減らしたことになる。インフレは資産の実質価値を減らす。だから欧米の人はインフレに敏感なのだ。
 インフレに敏感だからインフレ兆候に対して中央銀行の動きが鈍かったり、政府がさらに借金を重ねようとするとマーケットが拒否反応を示すことがある。
 特にアメリカのマーケットは景気や物価動向に素直を反応していると私は思う。人間の体でいうと体調が悪い時には熱が出るようなものだ。熱が出るから、体調が良くないことがわかり休息する。だから元気が戻ってくる。
 だがどうも日本のマーケットは日銀のETF買いなどの薬漬けになり、体調が悪くても熱すらでないような体になっているのではないか?と私は懸念している。
 さて為替についてだが、大統領選後昨年末まではドル安傾向だったが、ここにきてドルは円やユーロに対して強含んでいる。その理由の一つは米国の長期金利の上昇だ。さらに金利上昇の背景には景気の回復兆候とインフレ懸念がある。これはワクチンの積極的接種活動など米国のコロナ封じ込めが効果を出し始めたことが大きい。
 
 私はアメリカの債券・株式・為替などのマーケットは景気の予兆に敏感に反応する健全さがあると感じている。今の日本の株式相場はアメリカ相場の調整弁のようなものなのでどうも分かり難い。つまりアメリカの相場が熱くなり過ぎて、出遅れいてるマーケットを探したら日本が出遅れていたので買うとか、アメリカの相場で損失がでたので穴埋めに日本株を売るとかだ。
 為替も結局のところ日本発の材料で動くのではなく、アメリカの材料で動いている。
 当面ドル円為替は少しドル高基調が続くかもしれないが、アメリカのインフレ傾向が顕著になってくれば、ドルの価値が下がるので少しドル安になるだろう。結果としては円高になるのだが、それで良いのかどうかは甚だ疑問だ。
 実力を伴わない円高が続くとするとその後は何が起きるのだろうか・・・
 

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