WSJに「IMFが積極的な投資で米国の生産性が向上するとして、同国の成長見通しを引き上げる」という記事が出ていた。
ポイントは次のような点だ。
- 今年の世界の経済成長率は3.3%と予想される。先進国全体では昨年の1.7%成長に続き、今年は1.9%成長すると予想される。米国については第4四半期に前年同月比2.5%成長すると予想されていて、主要先進7カ国でもっとも成長率が高い。(なおこの記事には出ていないが、IMFは今年の米国の消え在成長率を2.8%と予想している)
- 世界第2位の経済大国中国の今年の経済成長率は4.5%の予想。ユーロ圏は今年1.2%の成長予想にとどまる。
- IMFは米国経済が好調な理由を「非住宅投資の増加と個人消費の堅調」とし、個人消費はインフレ調整後の実質賃金の上昇に支えられているとしている。
- IMFは米国の総固定資本形成(投資の広範な指標)は、今年4.5%増加すると予想する。これは先進国全体の3倍以上になるという。
- コンサルタント会社RSM USのチーフエコノミストは「ソフトウエア 機器や知的財産への投資の継続的な増加により、米国とその他の経済の成長経路に乖離が生じている」と述べている。
今米国は人工知能で世界をリードしている。ところで人工知能の開発や運用については、大量の電力を消費する。米国の強みの一つは2020年代に、水圧破砕などの新技術を利用して、エネルギーの生産性を向上させ、世界的なエネルギーショックの影響を受けない体制を確立したことだ。
記事によるとロシアのウクライナ侵攻以降、欧州諸国はエネルギー価格の高騰で大打撃を受けている。欧州員会の報告書によると、欧州の企業は米国企業に較べて、電力に2~3倍、天然ガスに4~5倍の金額を支払っているということだ。
このため欧州企業は米国企業に較べて、生産性向上への投資で遅れている。
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このブログでしばしば書いているように、個々の政権が経済発展に与える影響はそれほど大きなものではない、と私は考えている。政治が経済に影響を与えるのは、もっと基本的な枠組みの部分だ。つまり「国を強くしていくにはどのようにすれば良いか?」といった基礎体力作りの部分だ。
世界的に見ればBRICS諸国の勢力拡大で米国の相対的な力や影響力は落ちているように見える。
しかし色々なイノベーションを起こし、旺盛な投資でそれを経済成長に結びつけていく米国の力は衰えていないと私は考えている。
米大統領選に関するオッズを見るとトランプが優勢だ。その一つの理由は彼が経済や外交面でハリス候補に優っていると考える選挙民が多いことによるだろう。つまり「国を強くする」ことにプライオリティを置く人が多いということなのだろう。
さて今週の衆院選挙、我々は何に優先順位をおいて選挙に行くべきなのだろうか?
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