監督 アンドリュー・スタントン 出演 ごみ処理ロボット、植物探査ロボット
前半がたいへんすばらしい。ウォーリーがひとりでせっせとごみ処理をし、イヴに出会い、ひとめぼれ(?)をし、それが恋にかわるまでが非常にすばらしい。私は昔から人間よりも機械に感情移入してしまう。「2001年宇宙の旅」では、メモリーをぬかれるハルに同情し、あ、かわいそうと思ってしまう。「デイジー……」と歌うせつない声に思わず涙を流してしまう。だから、今回も、もう、ウォーリーの気持ちにどっぷりのめりこんでしまう。
前半は、せりふがない。無声映画のように、動きだけで笑わせる。
こおろぎ(?)がウォーリーの体を這い回るとき、ウォーリーがくすぐったがる。その感じが素敵だ。機械がくすぐったがるはずがない、と思うひとは、もうこの映画を見る資格がない。ロボットなのに、それを人間と思えるひと、その金属の体を、人間の肉体と思えるひとでないと、この映画はおもしろくない。
くすぐられて笑うというのはきわめて肉体そのものの反応だけれど、そういう肉体的な反応をひきがねにして、人間とロボットを重ね合わせるこの導入部は、この映画のいちばん重要なシーンだ。まず肉体の反応(重なり)があって、それから、感情へと動いていく。さりげないけれど、「劇」の基本をこの映画はきちんと守っている。
そういう導入部があって、たった1本のビデオを繰り返し繰り返し見て、誰かと手をつなぎたいとおもうせつなさが切実になる。自分で自分を修理してしまうのも素敵だ。スプーンとフォークを分類し、先割れスプーン(これって、アメリカにもあるの?)をどっちに分類していいか悩み、その間に置くところなど、楽しくて笑ってしまう。
イヴに出会って、その強力なパワーにびくびくふるえるのも素敵だし、イヴにぷちぷちを潰させるのもいいなあ。ぷちぷちをつぶしたい、というのは、あらゆる人間に共通のことなのかもしれない。ロボットにそういう基本的な人間の行為をさせ、引きずり込む手法は、とてもすごい。雨の日に、何度も雷に打たれながら、それでもイヴに傘を差すシーンも素敵だ。イヴがビデオテープをぐしゃぐしゃにしてしまったのを、くるくると手動でもとにもどすなんて、その細部が素敵だ。
イヴが宇宙へかえっていく(さらわれる?)までが、ほんとうに、ほんとうに、ほんとうにすばらしい。宇宙へ出てからも、消火器をつかって、ウォーリーがイヴとダンスをするシーンも傑作である。いつまでもいつまでも見ていたい。宇宙船の中での、掃除ロボットの反応もおもしろい。
後半、人間が登場してからは、ちょっとおもしろさに欠ける。宇宙船の艦長とコンピューターが戦うというのは、「2001年宇宙の旅」のまねごと。興ざめ。
けれども、前半は、せりふもなく、無声映画のような、肉体的な(?)楽しさがともかくいっぱい。前半だけ、もう一回見に行ってもいいかなあ、と私は思っている。
(私は福岡の「福岡東宝」の小さな劇場で見た。私以外は誰も声を上げて笑わない。みんなで大笑いする劇場で見直したいと思っている。福岡の観客は、あまり笑わない。こういう映画は、みんなで笑ってみてこそおもしろい。笑わないと損。)
前半がたいへんすばらしい。ウォーリーがひとりでせっせとごみ処理をし、イヴに出会い、ひとめぼれ(?)をし、それが恋にかわるまでが非常にすばらしい。私は昔から人間よりも機械に感情移入してしまう。「2001年宇宙の旅」では、メモリーをぬかれるハルに同情し、あ、かわいそうと思ってしまう。「デイジー……」と歌うせつない声に思わず涙を流してしまう。だから、今回も、もう、ウォーリーの気持ちにどっぷりのめりこんでしまう。
前半は、せりふがない。無声映画のように、動きだけで笑わせる。
こおろぎ(?)がウォーリーの体を這い回るとき、ウォーリーがくすぐったがる。その感じが素敵だ。機械がくすぐったがるはずがない、と思うひとは、もうこの映画を見る資格がない。ロボットなのに、それを人間と思えるひと、その金属の体を、人間の肉体と思えるひとでないと、この映画はおもしろくない。
くすぐられて笑うというのはきわめて肉体そのものの反応だけれど、そういう肉体的な反応をひきがねにして、人間とロボットを重ね合わせるこの導入部は、この映画のいちばん重要なシーンだ。まず肉体の反応(重なり)があって、それから、感情へと動いていく。さりげないけれど、「劇」の基本をこの映画はきちんと守っている。
そういう導入部があって、たった1本のビデオを繰り返し繰り返し見て、誰かと手をつなぎたいとおもうせつなさが切実になる。自分で自分を修理してしまうのも素敵だ。スプーンとフォークを分類し、先割れスプーン(これって、アメリカにもあるの?)をどっちに分類していいか悩み、その間に置くところなど、楽しくて笑ってしまう。
イヴに出会って、その強力なパワーにびくびくふるえるのも素敵だし、イヴにぷちぷちを潰させるのもいいなあ。ぷちぷちをつぶしたい、というのは、あらゆる人間に共通のことなのかもしれない。ロボットにそういう基本的な人間の行為をさせ、引きずり込む手法は、とてもすごい。雨の日に、何度も雷に打たれながら、それでもイヴに傘を差すシーンも素敵だ。イヴがビデオテープをぐしゃぐしゃにしてしまったのを、くるくると手動でもとにもどすなんて、その細部が素敵だ。
イヴが宇宙へかえっていく(さらわれる?)までが、ほんとうに、ほんとうに、ほんとうにすばらしい。宇宙へ出てからも、消火器をつかって、ウォーリーがイヴとダンスをするシーンも傑作である。いつまでもいつまでも見ていたい。宇宙船の中での、掃除ロボットの反応もおもしろい。
後半、人間が登場してからは、ちょっとおもしろさに欠ける。宇宙船の艦長とコンピューターが戦うというのは、「2001年宇宙の旅」のまねごと。興ざめ。
けれども、前半は、せりふもなく、無声映画のような、肉体的な(?)楽しさがともかくいっぱい。前半だけ、もう一回見に行ってもいいかなあ、と私は思っている。
(私は福岡の「福岡東宝」の小さな劇場で見た。私以外は誰も声を上げて笑わない。みんなで大笑いする劇場で見直したいと思っている。福岡の観客は、あまり笑わない。こういう映画は、みんなで笑ってみてこそおもしろい。笑わないと損。)