惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

カレーとイギリス人

2007-01-22 21:19:19 | 食・レシピ
 リジー・コリンガム著『インドカレー伝』(東郷えりか訳、河出書房新社)を読むと、インドでのカレーの生い立ちだけでなく、イギリス人とカレーの関係もよくわかる。何しろ、スパイスの効いたインドの料理をまとめて「カレー」のひと言でくくったのは「大雑把な英国人」だったというのですから。
 インド料理がイギリス人の手によってカレーにされたことはわかるとして、しかし、今やカレーはイギリスの国民食のようなものだというのには驚かされます。
 「カレーはイギリス文化の切り離せない一部と考えられている。インド料理を食べにいくことは、きわめてイギリス的な行動になっている……」とコリンガムは書いている。

 しかも、イギリス人がインド料理を食べに行くのは、パブで酔っ払った後が多いというのですね。
 「大声で騒ぐ酔っ払いがインド料理店になだれ込み、激辛のヴィンダルーやパルを注文して男らしさを誇示する慣習は、インドの食べ物とイギリス人のあいだの気がかりな一面でもある」などというくだりを読むと、フーリガンたちが口から火を吹いているようなイメージが浮かびます。

 イギリスから伝わった日本のカレーが、すっかり家庭料理になって良かった。いえ、外で食べて辛さを楽しむのもまた良いものですけど。