最近、驚いたことの一つはラリー・ジョンソン+スコット・バルディガ『人体冷凍 不死販売財団の恐怖』(渡会圭子訳、講談社)を読んで、チャールズ・プラットが「大活躍」している様子を見たこと。
チャールズ・プラットはSF作家としては日本にも紹介された長編『ヴァーチャライズド・マン』『フリーゾーン大混戦』(ともに大森望訳、ハヤカワ文庫)の著者として、また評論家/編集者としてはファンジン「パッチン・レヴュー」の発行や著名SF作家のインタビュー集を世に出したことで知られています(ディックやティプトリーへのインタビューが〈SFマガジン〉に訳されている)。
その彼が1990年代から人体冷凍保存に強い関心をもち、ついにはそれを実施しているアメリカのアルコー延命財団のCOO(最高業務執行責任者)にまでなっていたというのですね。
『人体冷凍』は、著者の1人ラリー・ジョンソンがプラットに雇われてアルコーで働いていた頃の見聞を記したもの。ラリーは半年勤めて、野球選手テッド・ウィリアムズの死体が不法に冷凍されているという告発を行い、アルコーと揉めることになる。
アルコーの内実については本書を読んでもらうなり、ネットで調べるなりしてもらうことにして、この本のプラットは准主役といっていい立場で、人となりや言動が細かく描写されている。
死後の復活を信じて一所懸命やっているのでしょうが、しかし、こんなやり方ではなあ……。読んだ限りでは、プラットさん、正気ですか? と言いたくなります。
他人の信条についてとやかくいっても始まりませんが、SFに親しんでいればもう少し現実感覚が身につくんじゃないのかなあというのが正直なところ。
それとも、私のSF観、SFファン観はまちがっているのか……。まあ、かなりのショックではありました。