訃報に接しました。昨日(21日)、亡くなられたそうです。享年77。ちょっと早すぎます。
作家であり、評論家であり、編集者であり、競馬評論家でもあった。
多彩な経歴の持ち主ですが、知る人ぞ知るという存在だったかな。ただし、知っている人は、誰もが一目置いていたと思います。
日本におけるニューウェーブSFの先導者でした。〈季刊NW-SF〉を創刊、J・G・バラードをはじめとする海外の先鋭的な作家を紹介するとともに、国内からも、大久保そりや、清水欣也などといった異色の書き手を登場させました。その後、サンリオSF文庫の出版を監修したのも大きな功績。
私は大学生の頃、〈季刊NW-SF〉を発刊していた山野さんのところにお邪魔し、SFのとらえ方、芸術のあり方などについて、強い示唆を受けました。山野さんの立場は、前衛であり、ラディカルであり、反体制的。アートを反逆のための表現手段と捉えていたようなところがありました。
目つきも、発言も鋭く、そびにいると、心の奥を射抜かれるような気がしました。が、その反面、とても優しくて面倒見が良い。カリスマ性に富んだ人物でした。
私が第一作品集を出した時には、書評で「SF界の白樺派」と、いかにも山野さんらしい言葉を頂戴しました。叱咤の混じった誉め言葉と受け止め、ありがたく思ったことでした。
しばらくお会いすることはなかったのですが、晩年、SF作家クラブに入会されてからは、時々、お目にかかるように(反対に、こちらは脱会してしまいましたが)。
そんな時には、SFのことより、もっぱら競馬のことを話すようになっていました。そんなことになるなんて、若い頃には思いもよらなかったなあ。
あの世からも、まだまだ日本SF界に鋭い視線を注いでおられるように思います。いろいろとありがとうございました。