昨夜は新橋の第一ホテル東京「ラ・ローズ」の間にて、第72回推理作家協会賞贈呈式。
今回の受賞作は次のとおり――
- 長編および連作短編集部門
- 『凍てつく太陽』 葉真中顕(幻冬舎)
- 短編部門
- 「学校は死の匂い」 澤村伊智(小説 野生時代8月号)
- 評論・研究部門
- 『日本SF精神史【完全版】』 長山靖生(河出書房新社)
SF仲間の長山さんが評論・研究部門で受賞されたので、お祝いに駆け付けたのですが、贈呈式の焦点は長編で受賞された葉真中さんの受賞スピーチでした。
受賞作の版元である幻冬舎が問題を起こしたことに触れ、昨今、ヘイト発言や露悪的発言で誰かを差別しようとする風潮は確かに存在する、と指摘。その上で、作家は差別に対峙する立場から、健全な娯楽を提供すべきではないかと述べられました。性根の座った立派な言葉だと思います。
取材に来ておられたメディアの方々が、スピーチを聞きながら、懸命にペンを走らせていたのも印象的でした。
葉真中さんのツイッターによれば、事前に幻冬舎の編集さんに告げたところ「ぜひ、やってください」と言われたとか。希望の灯が消えたわけではないようですね。
写真は、左から受賞の、長山さん・澤村さん・葉真中さん。そして推理作家協会の次期理事長・京極夏彦さん。