市民農園で隣り合っている畑の方は、今年、特にトマトに力を入れておられて、3本の畝のうち1本では、丸ごとトマトばかりを育てています。
早くから苗を植え、青々とよく育っているのですが、先日、「トマトトーンをかけ過ぎてしまいました」と、落胆した様子を見せておられました。
トマトトーンとは、トマトやナスに対してホルモンのような働きをする薬剤で、受粉しなくても着果したり、実がよく育ったりする効果をもっているそうです。
私は使ったことがないのですが、周囲ではけっこう人気があります。
しかし、咲いた花に1度だけ使うのが原則で、使いすぎると薬害が出るとか。実が空洞化したり、葉がちぢれたりするようです。
せっかくうまくいっていたのに、思わぬところでつまずいてしまったのがお気の毒で、今日、畑で会った時、「トマトは復活しましたか?」と訊ねてみると、「しません! アハハ」と、虚ろに笑ってました。
そしてすぐに、「本当はとても悲しいんです」と、落ち込んだ声で付け加えられたのです。
「それはそうですよね」と、相槌を打ったものの、それ以上かける言葉が見つかりませんでした。
後悔と、くやしさと、なんとかならないものかという祈りと……。気持ちはよくわかるのです。