週末に久しぶりに車でゴルフに出かけようと考えているが、ガソリン価格がリッター150円を越えたというニュースを聞くと電車の方が良かったかな?と思えてくる。そんなことを会社で話すと「倹約するならゴルフに行かないことが一番です」と返事が来た。それはさておきお隣の中国でも昨日ガソリンとディーゼルの価格を10%引き上げた。北京政府はインフレ抑制のため、政府が統制する物価については引き上げないといっていたが、石油価格は引き上げざるを得なかった。中国の第3四半期のインフレ率は6%に達している。このままだとインフレから社会不安が起きる可能性を指摘する人もいる。
たまたま今日三峡ダムの特集がFTに出ていたが、オイルと三峡ダムは中国のエネルギー・資源問題を考える一つのキーかもしれない。三峡ダムは1994年12月に建設が開始され、2009年に全面操業が計画されているが、建設以前からあった環境問題等が今なお議論になっている。
ところでこの三峡ダムだが、英語ではThree gorges damという。gorge(ゴルジュ)と聞いてこれが峡谷を意味すると分かる人はかなりの英語通かかなりの沢屋だろう。私は後者の方だ。登山特に沢登りでgorgeは谷が岩壁に狭められ喉のように狭くなっている部分を指す。もっともそのイメージは川幅数メートルの感じなので三峡をgorgeと呼ぶのはピンとこないが。
三峡ダムについての今の中国政府の姿勢は「プラス面とマイナス面があるが、プラス面の方が多い」という整理だ。プラス面は発電についていうと中国の電力需要の1割をまかなう予定と言われ(建設当時の話、今は電力需要が増え1割もまかなえないだろう)ていた。これは中国のみならず世界のエネルギー需要緩和に貢献する。
洪水を10年に一度から100年に一度に減らすというのも宣伝文句だが、これには否定的な意見も多く即断は避けた方が良いだろう。環境面でマイナス効果を指摘するものには、東シナ海に注ぐ長江の水量が減少するので、海水が長江を逆流して、農耕地に塩害をもたらすという意見がある。また三峡ダムに膨大な沈殿物が溜まり、ダムより上流の川は浅くなり、重慶の港は10年と持たないという意見もある。それと130万人に上るダム建設で住居や耕作地を失う農民などの補償や転居の問題がある。
中国の政治家の間にも今後の新しいダム建設は慎重に行おうという意見もでている。なおついでにいうと世界的に見ると水力発電ダムは時代錯誤という見方が広がりつつある。米国では多額の資金を投じて老朽化したダムを撤去しているのが現状だ。
三峡ダム問題は中国にとって人権・エネルギー・環境・農業等の問題が複雑に絡んだ難問であることは間違いない。高くなったガソリンの話がつい長くなってしまった。