昨日半導体大手NVIDIAの時価総額が2兆ドルに達した。マイクロソフト、アップルについて時価総額世界3位になった。
NVIDIAをはじめとする人工知能銘柄の躍進でナスダックは連続して高値を更新した。NVIDIAなどAI銘柄を持っている人はウハウハだろうが、持っていない人は「持たざる不安」に穏やかならざる状態だろう。
そんな中WSJはYour stock-market FOMO is rational(あなたの持たざる不安は合理的なものだ)という記事で、政策金利が引き下げられる局面で値上がりが期待できる株を持っていないことへの不安は合理的なものだと述べていた。
証券会社などがよくやる手口は投資家が相場から取り残される不安を煽って、初心(うぶ)な投資家を過熱相場に呼び込み、初心な投資家がババ掴みをするというものなので、この手の話は注意して聞く必要がある。
ところでFOMOというのはFear Of Missing Outの略称で「取り残される不安」という意味でSNS依存症に関する文脈で使われることが多いようだ。
しかし投資の世界でも「絶好の投資機会を失って、相場から取り残される不安」が高まるということでアメリカでは投資の文脈でも使われるようだ。
記事によるとUBSが長期にわたる研究成果を発表したデータによると、株式リターンは金利低下局面で9.4%に達し、金利上昇局面では3%に留まった(米国の場合)ということだ。
また株式投資のリターンは、中央銀行が金利を引き下げた後の数日など短期間に生まれると述べている。これは株価が急上昇する、つまりスパイクという事象でこれを逃すと中々取り返すのが難しいと言われている。
いつスパイクが発生するか?そのタイミングを正確に予想することは不可能なので、相場が上昇局面を迎えると考えた時はロングポジションを続けるしかない、というのが私の考えだ。
現在の米国の金利動向については、以前投資家が考えていたより、政策金利の引き下げ時期は後ずれする可能性があるかもしれない。また今年は大統領選挙があるので、連銀も政治的中立性を考えるだろうから、金利引き下げの時期を予想するのは、我々のような部外者には難しい。
だが金利引き下げの筋道がはっきりすると、サイドラインで待っていた資金が株式市場に大量に流入し、相場がさらに上昇する可能性が高いと予想することは可能だ。
一方現在の米国株は買われ過ぎて高過ぎるという見方もある。
この時期の資産運用とは「取り残される不安症」と「高所恐怖症」の間の細い尾根を歩くスリリングがゲームなのだろうか?