WSJやCNBCを見ているとアメリカ経済がポストパンデミック以降堅調な理由の一つは移民受け入れが拡大していることにあるという主張を目にすることが増えてきた。
アメリカでも日本、韓国、台湾と同様合計特殊出生率は低下している。合計特殊出生率は、日本が1.3、台湾は1.1、韓国に至っては0.9でアメリカは1.7だ。しかし米国経済局の分析によると、2019年以降日本の人口は2%近く、台湾の人口は1%近く減少しているが、アメリカの人口は約1.4%増えている。
その理由はアメリカでは移民による人口増が続いているからだ。
WSJのImmigration is helping the U.S.edge out Asia「移民が米国のアジアに対する凌駕を助けている」という記事に出ていたグラフを見ると2019年3月時点の労働人口に占める外国人労働者の割合は17.7%だったが、今年2月には19.4%に達している。これに較べて2022年時点での日本の外国人労働者の割合は2.7%だ。
2020年にIMFが行った調査では、総労働人口に占める移民労働者の割合を1%上昇させると5年後に総生産量は1%増えるという。また生産性の向上により、自国民労働者の平均給与も上昇する傾向にあると研究は述べている。
WSJは移民により様々なスキルがもたらされるので、経済成長がおり効率的になるとその理由を説明している。
メキシコと陸続きで移民が流入しやすい米国では、移民が一種の安全弁として機能している。つまり景気が過熱して労働力が不足する時、低スキルの移民を取り込むことで労働力不足を補い、賃金上昇に冷やし玉を入れているからだ。
移民は政治的には議論が多い話だが、経済的にはアメリカ経済の人口減少に悩む極東諸国を凌駕する上で有力な武器になっていることは間違いない。
私自身人口減少に悩む日本では、もっと積極的に外国人労働力を増やすべきだと考えている。そして少しでも手助けができれば良いと考え、在留外国人に日本語を教えるボランティア活動を行っている。
そこで感じることは、日本のあらゆるシステムは外国人を受け入れる上で非常に不便なシステムになっているということだ。
最近自動車の運転免許をとろうとして教習所に通いだした中国人青年と、教習所のテキストを勉強しているが、その難しさに改めて驚いている。
日本の自動車免許取得のハードルの高さの原因は何なのだろう。そもそも自動車教習所などない国が多いはずだ。従って免許の取得費用も極めて安い。おそらくアメリカでは日本の数十分の1程度の費用で免許が取れるはずだ。
日本の教習所は生徒のためではなく、先生つまり退職した警察官の受け皿のためということが多そうだ。
このような問題は、行政や教育システムのいたるところで見られる。
日本で移民を拡大しようと思うなら、このようなシステムをもっともっとシンプルにする必要がある。システムをシンプルで分かり易いものにするメリットは外国人のためだけではない。それにより恩恵を受ける日本人も多いしそれが生産性の向上につながると思う。