昨日(7月24日)米国株は大きく下落した。下げ幅が大きかったのは、ナスダックで3.6%下落した(ダウは1.2%,S&P500は2.3%下落)。WSJによるとナスダックが3%以上下落したのは400営業日ぶりということだ。
下落の引き金は、テスラとアルファベットの決算が投資家の失望を招いたことにあった。
アルファベットの決算については、事前予想を若干上回ったものの、AIに関する投資が投資家の懸念となった。
そうじて「マグニフィセントセブン」と呼ばれる今年前半の相場を牽引したIT大手企業の決算に対する見方厳しい。
WSJはLittle Harbor Advisorsのポートフォリオマネージャーの「事前予想を達成するだけでは駄目で事前予想を上回らないといけない」という言葉を紹介している。これまで買い進まれて割高になっているIT大手については、高い株価を正当化するより良い決算が求められている訳だ。
投資家はこれから発表されるNvidiaやマイクロソフトの決算を固唾をのんで見守っているだろう。
ところで今朝読んだWSJではThe Hottest Job market in a generation is over「一世代で最も熱い雇用市場は終わった」という記事が気になった。
記事は「何百万人もの労働者が新しい仕事を見つけ、賃金が上昇し、キャリア再開発の道が広がっていた雇用市場は、より平凡な時代にとって代わられるつつある」と述べる。
先月の失業率は4.1%に上昇し、2021年以来初めて4%を超えた。歴史的な尺度でみると失業率はまだまだ低い水準だが、労働者は猛烈なペースで仕事を辞めなくなり、求人倍率はコロナ前の1.2倍という水準に戻ってきた。
この記事の中にEconomists say the historically unusual dynamics that caused the boom—an economy that shut down and then roared back to life during a pandemic—were always going to be fleeting. という一文があった。
「経済学者たちは、ブームを引き起こした歴史的にみて異常な力学は、常に束の間のものだった」ということだ。
パンデミックで収縮する経済を支えるための金融緩和、大規模な財政支援、過剰すぎた在宅勤務、それを支えたIT機器やサービス、世界的なサプライチェーンの綻び、世界的な人手不足等々で生まれた大きな力がノーマルな状態に戻りつつあるということだろう。
その視点で株価と雇用に関する記事を読むと、世の中がパンデミックが生み出した異常な力学の世界からそれ以前の世界に戻るなかで、何が起きようとしているのかある程度予想が付いてくるのではないか?
米国株で起きているセクターローテーションもその文脈で見るとまともな投資行動なのかもしれない。