今日の日経新聞(ネット)にメガバンクのリストラ話が出ていた。この話題自体は3か月前に三菱UFJの平野社長が講演会でさらりと持ち出した時に大きな話題になったから目新しい話ではない。
多少目新しいところがあるとすれば、みずほが金融庁に1.9万人の人員削減案を説明に行った時、「1.9万人では足りないんじゃない?」と金融庁幹部が嫌味を言ったというところあたりか?
メガ3行とも「希望退職という選択肢はない」と言っているので、行員の方が直ちに雇用に不安を覚えることはないと思うが、事業の再構築(リストラクチャリング)で、働く場所が大幅に減ることは間違いない。
一方日本全体としては労働力不足の状態なので、銀行の従業員が「考え方」を変えると新しい仕事を見つけることは難しくないかもしれない。
そこで「考え方」について少し考えてみた。ここでいう「考え方」とは「働く理由・目的」という意味で、キャリアアンカーと言っても良いだろう。キャリアアンカーという概念は1990年頃アメリカで生まれた概念で生みの親のシャイン教授は「キャリアを形成していく上で譲ることのできない『能力』『動機』『価値観』の組み合わせ」と定義している。
シャイン教授はこの3つの組み合わせからキャリアアンカーを8つのカテゴリーに分けた。働いている人はこの8つのカテゴリーから最大2つのアンカーを持つことが認められるという。
8つのカテゴリーとは「専門的能力」「組織管理能力」「自立・独立」「雇用保障や福利厚生の充実」「起業家的創造性」「社会への貢献性」「純粋な挑戦」「ライフスタイル」だ。
以下は個人的想像の域をでないが、私はメガバンクの行員の方のキャリアアンカーは「組織管理能力」「雇用保障」が多いのではないか?と考えている。最近では「ライフスタイル」などの割合が高まっているかもしれないが。
過去メガバンクは「雇用保障や福利厚生の充実」を従業員に提供する対価として「組織への忠誠」を求めてきた。また「営業成績を上げる従業員には組織の階段を登ることを保証する」形で「組織管理能力」を求めてきた。それが組織のニーズ(キャリアサバイバル)だったのだ。
だがここにきて(本当は相当昔からなのだが)話ががらっと変わってきた。これまでキャリアサバイバルだった「組織管理能力」「雇用保障」が急に組織の重荷になってきたという訳だ。
私は多くの銀行員の方は今キャリアアンカーについて考える時が来ていると思っている。
一つはあくまでも過去の自分のキャリアアンカーに拘り、それにかなう仕事を探すという方法だ。しかしフィンテックなど技術革新が激しいのでこれは難しい選択だろう。
もう一つは大胆に自分のキャリアアンカーを変えるということだ。キャリアアンカーは滅多に変えるべきものではないが、世の中の激変期や自分に重大なイベント(たとえば大病)があった時は変えてよいと私は考えている。
キャリアアンカーを変えることで、自分の地平線が広がるのだ。ダーウィンは生き残る種は強い物でも知恵のあるものでもない、環境に適応できる種が生き残ると喝破した。
働くものが環境に適応するとはキャリアアンカーを変えることではないか?と私は考えている。
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