今日本では教育無償化による「人づくり革命」が話題になっている。政府の新しい経済政策パッケージでは2020年から年収590万円以下の世帯を対象に私立高校を実質無償化するという。
また授業料が高い私立大学についても住民税非課税世帯の学生を対象に無償化を進めるという。「人づくり」という大きな旗を掲げられると反対し難い面があるが、実社会で高等「教育」がどれ程重要なのか?ということも視野に入れておいた方が良いという気がする。
WSJはWant a New Job? This si what employers require from their workersという記事で「実際の仕事で大卒資格が必要な割合は2割以下なのだ」と述べている。
米労働省が発表したレポートによると、雇用者が大卒資格を求める仕事は20%以下でそれ以外の仕事は高卒又はそれ以下の資格で十分ということである。
もっとも学歴別の失業率を見ると大卒は2%、高卒は4.3%、それ以下は5.7%と大卒が有利なので、アメリカでも大学進学熱は高い。
しかし雇用者が求めるのは、実は学校教育ではなく、職歴なのである。
記事はマクドナルドのマネージャーに要求される職務経験日数は平均1,511日で、最低でも大卒の資格が求められる小学校の先生が大学教育に費やす日数よりはるかに長いと指摘している。
調査によると76%の仕事は就業後の職業訓練すなわちシャドウイング(先輩の仕事ぶりを観察)、オンザジョブトレーニングや基礎的な仕事を学ぶことが要求されるという。
思い出したのが、Learning over education(教育よりも学び)という言葉だ。教育は与えられるものだが、学びは自発的に行うものである。納得できる仕事について納得できるポジションを得るには、学歴よりも仕事についた後、学び続けることができるかどうかが重要ということなのだ。
教育の無償化は「与える機会」を増やすが、そのことが直ちに人づくりにつながると結論付けてよいか?あるいは論理の飛躍があるかどうかは少し考えた方が良い問題のような気がしている。
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