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中国製品への関税強化で利益を得るのは、中国の隣国

2019年05月30日 | 社会・経済

WSJにThe real winners from Trump's tariffs are China's Neighborsという記事がでていた。

中国からの輸入品に対する関税強化は、結局台湾・韓国・東南アジア諸国など中国の隣国を利するという見方だ。

この見方の元になっているのは、ニューヨーク連銀のエコノミストが、2018年の関税強化の影響を分析したレポートだ。

それによると25%の関税により米国の一世帯当たりの負担は年間831ドル(9万円強)増えた。これは輸入業者が中国製品の関税分を消費者に転嫁したこともあるが、輸入業者が中国以外の外国からの輸入に切り替えたインパクトの方が大きい。中国の隣国の製品は、関税課税前では中国製品より高くても、25%の関税がかかった中国製品よりは安い場合があるからだ。

それを裏書きする事実として、今年3月に中国からの輸入品は前年比18%減少したが台湾・ベトナム・韓国からの輸入は顕著に増加している。

記事は「中国の東南アジアや台湾に対する今年第1四半期の輸出増加率は加速しているから、中国の製造業者はこれらの国を通じて製品を米国に輸出しているのかもしれない」と述べている。

記事は米国の中国製品に対する関税強化は、米国の輸入製品価格の上昇と中国の雇用悪化を招き、中国の輸出業者が市場シェアを失い、その分関税がかからない隣国がメリットを受けることになる可能性が高いだろうと結んでいた。

米国の政治家は米国民に対して「中国製品に対する関税強化は、家計に幾らか負担をかけるが、中国をアメリカのルールに従わすという戦略目的が達成されると意義あるものだ」という説明を行っている。

だがこの記事を読むと、政治家の説明に懐疑的になる米国人が増えるかもしれない。

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