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コロナ騒動が終わっても出張は最大36%減が永続する~米国での調査より

2020年12月02日 | 社会・経済
 WSJは「コロナ騒動が収束しても、ビジネストラベル(出張)は19%~36%の範囲で永久的に減少するだろう」という記事を掲載していた。
 まずこのような推測の根拠から紹介しよう。
 出張は目的から「セールス・顧客管理(約25%)」「テクニカルサポート(約20%)」「コンベンション・展示会(約20%)」「社内講習・研修(20%)」「通勤(5%)」等に分けることができる(合計が100%にならないが記事のとおりなのでご容赦を)。
 例えば「セールス・顧客管理」は対面の交渉が必要なので、コロナ騒動が収束すれば元の水準に戻ると見込まれる。
 一方社内講習・研修は、インターネットを利用したヴァーチャルな開催で成果を上げることがコロナ経験を通じて確認できたので、コロナが収束してもヴァーチャルに開催されることが多くなると予想される。またテクニカルサポートもかなりヴァーチャル化が可能だ。
 以上のように分析を進めた結果、この分析レポートは飛行機を使った出張は最低でも19%、最大では36%の範囲でコロナ騒動後も減少したまま戻らないと予想している。なお記事ではビジネストラベル=航空機を使った出張としているが、これはアメリカの実態にそった記事で、当然のことながら日本にそのまま当てはめることはできない。
 さて仮にビジネス客が3割も減るとどのようなことが起きるだろうか?
第一に航空会社の売上が落ちる。ビジネス客は世界的な航空会社の乗客の10%~15%を占めるが売上については約40%を占めている。バンクオブアメリカによると航空業界全体の1兆1千億ドルの収入の内30%に相当する3,340億ドルはビジネス客によるものだ。
第二にビジネス客の減少の影響は、一般旅行客にもマイナスの影響を及ぼす。何故かというと航空会社はビジネス客から相対的に高い料金を取っているので、エコノミーシートを安く販売することができた。エコノミーで旅行する一般旅行客は価格面でメリットを得ていた訳だが、ビジネス客が減ってくると航空会社は一般旅行客の航空運賃を引き上げようとすると考えられる。もっとも格安航空会社が頑張っている(アメリカでシェアは約2割)ので、実際はかなり難しいだろうが。そこでコスト削減のためにフライト数を減らすなどサービスの低下が起きることが想像される。
 記事はそれ以上の波及効果については言及していないが、旅行客の減少はホテルや飲食業にもダメージを与える。コロナウイルスがもたらす経済的なダメージはこの種の業種には長続きしそうである。
 
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