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山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

会社はコロナ対策でどこまで従業員をコントロールできるか?(アメリカの話だが)

2020年11月20日 | 社会・経済
 今日(11月20日)の朝刊にイオンのブラックフライデーセールのチラシがはいっていました。ブラックフライデーとはThanksgiving Day(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日から始まるアメリカのバーゲンセールです。この金曜日は最も売上高が多い日で、店が黒字になるのでブラックフライデーと言われるようになりました。Thanksgiving Day(感謝祭)には全米各地に散らばっている家族が一同に会し、ターキーを食べる日になっています。
 日本の年末年始の帰省休暇に該当するのがこのThanksgiving Dayの休暇です。
 しかし今年はコロナウイルスの感染が拡大する中、多くの会社は従業員にThanksgivingの儀式を小さなものにして大掛かりの会食や長距離移動の自粛を求める傾向にあります。
 これにともない会社・従業員双方で感染防止について双方の権利と責任を整理して法的リスクを事前に回避しておこうという動きがでています。
 WSJのThe Coronavirus and Your Jobと記事はQ&Aの形で論点をまとめていました。
 日米ではベースとなる法律や雇用契約が異なるので、そのまま参考にできないところもありますが、会社全体の健康管理や事業の継続と個人のプライバシーのバランスを考える上で参考になるところは多いと思います。
以下記事の一部を紹介します。
 【従業員の個人旅行
(質問1) 会社は私の休暇をキャンセルして私を働かせることができますか?
(回答1) 大部分の職場で答はイエスです。インディアナ大学の労働法教授のDau-Schmidt氏は「連邦法の下で大部分の会社は休暇をキャンセルし、職場に戻るよう従業員に求める権利を持っています。例外は組合契約または特別な雇用契約で休暇保護が行われている場合です。」と回答しています。しかし休暇のキャンセルは従業員に不人気なので実際の運用には歯止めがかかっています。
(質問2)上司が私の個人旅行をキャンセルするように告げるとすれば、それは適法でしょうか?
(回答2)会社は従業員に旅行や旅行先について勧告を行うとしても、個人の時間をどのように使うかを従業員に指示することはできません。
(質問3)会社は休暇をキャンセルした場合、キャンセル料を払う必要がありますか?
(回答3)上司が旅行の打ち切りを主張した場合、従業員がキャンセル料の補填を求めることについて合理的な要求と考える会社はあるでしょう。しかし法的には雇用契約がそのように定めていない限り、法的には支払う義務はありません(前述のDau-Schmidt教授)
リモートワーク
(質問1)私は通勤してコロナウイルス感染リスクに晒されることに本当に不安を感じています。私は自宅勤務を行う権利を持っているのでしょうか?
(回答2)一般的に会社はテレワークを認める義務はありません。例外は「アメリカ障がい者法」でテレワークが認められている障がいのある従業員です。
 また政府が隔離を命じる場合はテレワークを認める義務が発生する可能性があります。
(質問2)私はオフィスで勤務することにリスクを感じていませんが、上司は在宅勤務を主張しています。私は在宅勤務をする必要がありますか?
(回答2)はい、会社は差別と思われる方針を取っていない限り、従業員にテレワークを求める権利があります。
 例えばイタリアなど感染拡大した地域を旅行した従業員に対して一定期間在宅勤務を命じることは合法的です。しかし善意によるものにしろ、70歳以上の従業員に一律に在宅勤務を命じることは合法的ではありません。
職場の問題
(質問1)会社は従業員の体温を測ることができますか?
(回答1)「アメリカ障がい者法」に従えば、会社が従業員の体温を測定することは健康診断に該当すると判断され、会社が行えることや求められていることの範囲を超えています。しかし悪性のインフルエンザが蔓延した場合に検温は許容されます。コロナウイルス感染についてもこのルールが適応されるでしょう。
 しかし従業員の検温が適法なものとしても、多くの弁護士や健康問題の専門家は検温が役に立つとは考えていません。「熱のある人はインフルエンザかもしれない」し「コロナウイルスに感染しても多くの人は発熱しない」からです。
プライバシー
(質問1)会社は同僚の一人がコロナウイルスに感染していることを他の従業員に直ちに伝えませんでした。会社は伝えることを求められていたのではありませんか?
(回答1)一般的にはコロナ感染者と接触した可能性のある人に警告を発する義務があります。また地方の保健当局が感染情報の公開を求める場合があります。ただし会社が感染者の名前を出して特定することはまずあり得ません。それは「アメリカ障がい者法」が求める守秘義務に抵触する可能性があるからです。会社は感染者が働いていたフロアなど場所を他の従業員に知らせることが多いでしょう。
(質問2)私がコロナウイルスに感染した場合、会社に感染を伝える必要がありますか?単に病欠したいということはできないでしょうか?
(回答2)恐らく法律上の要請はありませんが、倫理的な要請はあります。もしオフィスで働いていて、同僚と接触するのであれば、会社に診断結果を伝え管理職から従業員に情報を伝えてもらうというのが良い方法です。
 もしテレワークをしていて同僚、顧客や他の人々と仕事上直接コンタクトすることがない場合は、コロナ感染を会社に伝える必要はないかもしれません。


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