FTによると昨年のバンガード投信に流入した資金は前年比76.5%増の1,414億ドルで業界新記録となった。バンガード投信の会社構造は資産運用業界では特殊なもので、会社が株主ではなく、顧客つまりファンドに投資した人のものとなる構造となっている。
CEOのMcNabb氏によるとこの会社構造が手数料の引き下げ圧力になっていると述べる。
FTのグラフを見ると業界の平均エクスペンスレシオは1.2%近いがバンガードのそれは0.2%以下だ。エクスペンスレシオとは平均純資産に対する投資顧問料等経費の割合だ。パッシブ運用を行なっているエクスペンスレシオが業界平均より低いのは当然なので、別の資料でパッシブ運用ファンド間の比較を見てみた。
SBI証券のホームページによると、米国籍ETF(上場型投信)の平均エクスペンスレシオが0.55%なのに対してバンガードのETFのエクスペンスレシオは0.17%である。
資産運用とは皮肉な見方をすると「確定したコストを払いながら不確定な収益を追い求める」作業である。顧客にとってのコストは業者側から見ると儲けだ。だから銀行や証券会社が投信の勧誘を行う。綺麗なパンフレットは私たち投資家のお金で作られているのだ。
不確実な資産運用の世界で長期的に利益を上げたいならまず費用を削減することが鉄則だ、という基本原則が世界的に浸透してきた結果がバンガードの躍進につながった。
シンプルなモデルで運用コストの長期的な影響を考えてみよう。今運用元本500、運用利回り4%とし、エクスペンスレシオを2%、1%、0.2%として10年後20年後の元利合計を計算してみうよう(税金は考慮せず)。
エクスペンスレシオが2%の場合は10年後609、20年後742(いずれも小数点以下切り捨て)。
エクスペンスレシオが1%の場合は10年後671、20年後903となる。
エクスペンスレシオが0.2%の場合は10年後726、20年後1054となる。
自分のお金を有効に働かすには無駄な経費を払わないことだ。
さらにMcNabb氏は「もし退職後の生活をエンジョイしたいのであれば、単純化した年金積立プランに従って若い時から準備をするべきである。人々は毎年所得の15%を積み立てるべきだ」と言っている。
インデックス投信のバンガードはシンプルで分かりやすい。ただし残念ながら日本ではバンガード投信の直販はない。ただしネット証券でバンガードが運用する海外ETFを購入することは可能だ。またセゾン投信が運用するセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドであれば直販で毎月積立型の運用が可能だ。ただし信託報酬は0.7%強とバンガードそのものよりは高い。ただし比較的良心的な報酬水準だと言える。
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