今米国のマスコミを賑わせているのが、先日国会議事堂への暴徒乱入を教唆したとして、罷免や弾劾訴追のリスクに晒されているトランプ大統領だ。
弾劾決議には上院議員の2/3以上の賛成が必要だが、その可能性は低いと見られている。しかし民主党は過半数の決議で決めることができる「公職追放」によりトランプ氏を次の大統領選挙から排除しようとしているという見方もある。
いずれにせよ、自国の政局問題でも予測が難しいのに、アメリカの大統領に何が起きるのかを予想するのは難しいと言わざるを得ない。
だがもっとはっきりしていることがある。
それはトランプ・オーガナイゼーション(トランプがオーナーである約500の企業体の総称)に破産の危機が迫っているということだ。
トランプは1991年のタージマハール(カジノ)の破産に始まって、プラザホテルの破産など数度の破産を経験している。正確にいうと破産したのはトランプではなく、トランプがオーナーになっていた不動産事業が借金を返すことができず、裁判所に破産を申請したのである。トランプ自身は「ノンリコース」(担保不動産にのみ債務弁済義務があり、本人には返済義務なし)なので破産を免れ、融資を行っていた銀行が大損を被った訳だ。
だが年貢の納め時が迫っているかもしれない。
Capitol riot threatens Trump's Already-struggling business(首都暴動は既に苦境に陥っているトランプの事業を脅かす)という記事で、WSJはトランプ・オーガニゼーションの苦境を紹介していた。
その一部を紹介しよう。
- トランプ・オーガナイゼーションの忠実なパートナーで3億ドル以上の融資を行ってきたドイツ銀行は2023年および24年に満期が到来する融資についてロールオーバーを謝絶し、他行での借り換えか不動産売却による弁済を求めている(事情通による)。
- ニューヨークに拠点をおくシグネチャー銀行とフロリダに拠点をおくプロフェッショナル銀行は、トランプ氏に暴動を扇動した責任をとって辞任することを求め、個人口座を閉鎖するだろうと通知した。
- 先週日曜日にPGAは2022年に予定されている全米プロトーナメントをトランプ所有のベッドミンスターから別の開催地に替えると発表した。
これらは一例だが、ニュースはビジネス界・金融界を走り、トランプ・オーガナイゼーションを取り巻くビジネス環境は極めて厳しくなっていることは間違いない。水に落ちた犬を叩くことはどこでも起きることなので、更に脱税嫌疑などがトランプを追いかけることも間違いないだろう。
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