昨日(10月3日)のWSJの中で興味を引いた2つの記事は「パウエル連銀議長の雇用市場に物価上昇要因となる過熱感なし」という発言と「アマゾンが最低賃金を15ドルに引き上げる」というニュースだった。
連銀の予想では失業率4%とインフレ率2%が向こう3年程度併存し、賃金上昇が物価上昇を連銀ターゲットの2%を超える見込みは薄いというものだ。
そんな中、アマゾンは25万人の従業員と10万人の季節労働者の最低賃金を15ドルに引き上げると発表した。
アマゾンの賃金引上げは政治家連中のプレッシャーに対応した面もあるだろうが、クリスマスシーズンを前に物流関係労働者の確保を目指した面も強いと私は考えている。
あるアナリストは今回の賃金引上げはアマゾンの営業利益率を1~2%押し下げる可能性があると予想している。もっとも大方の見方は急成長を続けるアマゾンにとっては簡単に吸収できるコストアップだろうというものだ。
影響はアマゾンほど成長力をもっていない会社の方が大きいことは間違いない。アマゾンCEOジェフ・ベゾスの賃上げ発表にはホワイトハウスからも歓迎の声が上がっているが、やがてその声は他の会社のCEOに対する賃上げ要求になりそうだ。
また雇用がひっ迫している物流業界にとってはアマゾンの人手囲い込みは脅威に映るのではないか?
アマゾンのように成長力で賃上げコストを吸収できる企業ばかりなら急速な物価上昇は起こらないが、懐の浅い会社にとっては賃上げを価格に転嫁せざるを得ないだろう。もし価格に転嫁できない場合は退場を余儀なくされることになる。アマゾンの最低賃金引上げのインパクトは大きいと私は思っている。
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