市場は今開催されている米連邦市場公開委員会FOMCに注目している。FOMCは昨日・今日の2日開催され、政策金利が決定される。今回のFOMCで政策金利が引き上げられることは、ほぼ確実視されているので、市場が注目しているのはFOMCの後の声明文だ。市場参加者はそこから次の利上げの可能性を探ろうとしている。
しかし声明文は市場に影響を与えるだけはなく、連銀のイエレン議長の運命にも影響を与える可能性がある。イエレン議長の任期は来年2月に終了する。トランプ大統領がイエレンを再任するかどうかが最大の問題だ。
選挙期間中は盛んにイエレンを攻撃していたトランプ大統領だが、就任後のイエレン議長との面談の後では、大統領は「イエレン議長も自分と同じく低金利派の人間だ」と述べ、彼女を再任する可能性を否定しないと述べた。
WSJにBeneath the Uneasy Peace between Donald Trump and Janet Yellen「トランプ大統領とイエレン議長の不安定な平和の下」という記事で、大統領と連銀は今のところ、和やかだけれど、それはイエレンの再選を意味しないと述べていた。
確かにトランプ大統領のツイッターは連銀に向けられていない。今月の政策金利の引き上げを織り込んでも株価は堅調だし、長期金利も低下している。景気の過熱を抑えるため、政策金利を引き上げ、借入コストの上昇を図るのだが、現実には長期金利は低下傾向なのだ。
これらのことは3%の経済成長を目指すトランプ政権にとっては好都合であり、今のところ連銀を攻撃する材料はない。
しかし連銀は人口増の鈍化や生産性の低下から経済成長率2%を持続可能な成長速度と考えており、トランプ政権の掲げる3%成長とは隔たりがある。
トランプ大統領とイエレン議長はともに同じ年(1946年)生まれで、誕生月も2カ月しか離れていない。今米国のみならず世界の市場に最も影響力のある二人はともにニューヨーク生まれ。
ただし実業家で学究派にほとんど興味を示さないトランプと学究畑のイエレン議長では思考方法や発言態度に随分違いがある。もともと歩調を合わせ難い組み合わせといえる。
だからUneasy Peace(不安定な平和)なのだ。Uneasy Peaceを英英辞書で調べると「いつでも争いが起きる可能性がある状態」と説明されている。
さて今日発表されるFOMC後の声明が不協和音の表面化につながるかどうかは注目点だと私は考えている。
ところで世界中を見ると至るとことにUneasy Peaceがある。世界はむしろUneasy Peaceの微妙な安定の上に成り立っているのかもしれない。そしてその不安定な関係の中でバランスを保っていくというのが大人の知恵というものなのか?などと考えている。
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