昨日(9月9日)米国株は大幅に上昇した。ダウは1.2%、S&P500は1.5%、ナスダックは2.1%上昇した。1週間を通しての上昇幅はダウ2.7%、S&P5003.6%、ナスダック4.1%だった。
昨日の株高を演出したのは、予想を上回る好決算を発表した小売業だった。高級家具のRH(旧レストレーション ハードウエア)の株価は4.5%上昇し、食品スーパー・クローが―の株価は7.4%上昇した。前者は典型的な裁量的支出銘柄で、後者は生活必需品の代表銘柄だが、インフレ圧力の高まる中検討していることが明らかになった。
木曜日には欧州中銀が政策金利を0.75%引上げ、米国でもタカ派的発言が続き、債券金利は6週連続で上昇するなど、金利環境は株式市場に逆風となっているが、今週の株式市場はその逆風に耐えた。もっともWSJがreprieve(一時的救済)という言葉でこの状況を説明しているとおり、下げ相場の中の一時的な反発に過ぎないかもしれない。しかし底値買いが入っていることも事実のようだ。
ドル円為替は、日本が円安に歯止めをかえるために動くのではないか?といった思惑などから一時円高に振れることもあったが基本的なドル高は変わらないと私は見ている。一番の理由は「今のアメリカが強い」ということだ。強い理由は色々あるが、一つはエネルギーを自国内で賄えることが可能という点だ。また金融政策が機能していることも強い理由の一つだ。また消費者がインフレを乗り切っていくタフさを示しているのも心強い。
日本では鈴木財務相が急速な円安に必要な措置をとると発言したが、この円安について日本にほとんど打つ手はない。
というのは円高をけん制するには、政府が持っている円を売りドルを買うと良い訳で、円は無限とはいわないまでもかなりの量がある。
一方円安に歯止めをかけるためには、ドルを売って円を買うオペレーションをしなければならないが、日本政府が売ることができるドルの量はたかが知れているので、相場の圧力を止めるような介入は不可能だ。
鈴木財務相のような金融の素人が訳も分からずに必要な措置をとるなどと発言しても相場の流れを止めることはできないのである。