李珍明「ガラス窓-出会い」(「something 」3)。山の近く、自然のなかで見かけたガラス窓を描いている。ガラス窓の擬人化が美しい。
繰り返される「……しなければならない」がいい。自覚が世界を新しく目覚めさせる。自覚が新しい世界をつくりだす。
ガラス窓--それは世界を単に映すのではない。世界を映すということは世界を作るということだ。「ガラス窓」とは「詩」そのものの比喩である。
詩のことばは世界を映すだけではない。「詩」が世界をつくりだす、世界をつくりかえるのである。
*
「夢の中で知人が死ぬということ」に、世界をつくりかえることばがある。
「もっと知らない同士になるために」に驚く。たしかに人と人が知り合いになるのは、その人と知り合うということのほかに、知らない同士になるために知り合うという矛盾したいい方でしか言えない出会いもある。「知らない」と言えるのは、それぞれにもっと重要な知り合いができたから、それぞれの世界がそれぞれに充実したからであろう。人はそれぞれの世界を充実させるために生きている。
そして「知らない同士」と言えるのは、また、知り合いであり得た可能性を知っているからでもある。
世界は本当はもっと複雑である。それぞれがぞれぞれの世界を生きていて、それが矛盾ではない。そこに幸せと悲しみが同時にある。
世界と自分との関係を丁寧に見つめ、それを具体的なことばで書く詩人だと思った。
木むらのてっぺんをやさしく剥いて
赤くて丸い太陽を載せなければならないし
まもなく鳥たちをひゅーっと飛ばさなければならない
鳥の鳴き声を空中にぶつけなければならず
あそこの山の尾根の線を取り外すように描いておかなければならない
繰り返される「……しなければならない」がいい。自覚が世界を新しく目覚めさせる。自覚が新しい世界をつくりだす。
ガラス窓--それは世界を単に映すのではない。世界を映すということは世界を作るということだ。「ガラス窓」とは「詩」そのものの比喩である。
詩のことばは世界を映すだけではない。「詩」が世界をつくりだす、世界をつくりかえるのである。
*
「夢の中で知人が死ぬということ」に、世界をつくりかえることばがある。
私たちは、あの人と私は、各自
どこかで豊かに暮らすとか早く死ぬとか
ひととき知り合いだった事があったという事実は
もっと知らない同士になるためにそうだった事
死も夢の中で誰かの伝言を通じてはじめて聞く
「もっと知らない同士になるために」に驚く。たしかに人と人が知り合いになるのは、その人と知り合うということのほかに、知らない同士になるために知り合うという矛盾したいい方でしか言えない出会いもある。「知らない」と言えるのは、それぞれにもっと重要な知り合いができたから、それぞれの世界がそれぞれに充実したからであろう。人はそれぞれの世界を充実させるために生きている。
そして「知らない同士」と言えるのは、また、知り合いであり得た可能性を知っているからでもある。
世界は本当はもっと複雑である。それぞれがぞれぞれの世界を生きていて、それが矛盾ではない。そこに幸せと悲しみが同時にある。
世界と自分との関係を丁寧に見つめ、それを具体的なことばで書く詩人だと思った。