ソウル大学のファン・ウソク教授がヒトクローン胚からES細胞を作ったという研究結果はすべて捏造だった――ソウル大学調査委員会が昨日出した結論。
私が疑問だったのは〈サイエンス〉誌にファン教授の論文が載った一昨年2月から約2年間も捏造が分からず、しかも内部告発によって初めて事実が明るみに出たという事件の経緯そのものでした。なぜ世界の科学者たちは、この研究が怪しいと気づかなかったのだろう?
これにはヒトクローン胚の研究に絡む倫理的な問題が大きく影響していたようですね。
私が疑問だったのは〈サイエンス〉誌にファン教授の論文が載った一昨年2月から約2年間も捏造が分からず、しかも内部告発によって初めて事実が明るみに出たという事件の経緯そのものでした。なぜ世界の科学者たちは、この研究が怪しいと気づかなかったのだろう?
これにはヒトクローン胚の研究に絡む倫理的な問題が大きく影響していたようですね。
普通の科学的発見ならば、論文に書かれた手法によって結果を追認できる。しかし、ヒトクローン胚は研究そのものが禁じられている国が多い。研究に使う卵細胞の入手にも倫理的な問題がある。追試しようにもできない状態にあったといえるのかもしれません。
手足を縛られた研究だけど、そういう束縛のない環境(たとえば韓国)でなら、ヒトクローン胚からES細胞が作られるのは時間の問題だという共通認識があったことも、捏造論文を承認してしまった原因のひとつなのでしょう。
いずれにせよ、科学界が大きな痛手をこうむったことは間違いないと思います。
科学的発見の喜びそのものより、栄誉や金銭を目的とする研究者がいることは事実。そうした人たちによる悪だくみがあった時、それを素早く見抜き、排除してゆくシステムが必要です。どのような対策が立てられるのか、これからも注目してゆきたいと思います。