八重葎

　時折り、体がカーッと熱いように感じるし、頭はボーッとするし、これはやはり風邪？

　今日の写真はヤエムグラ。アカネ科の１～２年草。
　花というよりは、ただの草であります。日本を代表する雑草のひとつ――などといっても誉めてるのか、貶してるのかわかりませんね。

　花びらが四方に広がっているのですが、２ミリ程度と小さいし、色も緑がかった白ではっきりしないし、まるで冴えません。
　それよりも、実が愉快。毛が生えたのが２個ずつ並んで、ちょっとオオイヌノフグリふう。ヒマがあれば、見てやってください。

　今回も万葉集から引いておきます。巻11にある問答歌――

思ふ人来むと知りせば八重葎おほへる庭に珠敷かましを

玉敷ける家も何せむ八重葎おほへる小屋も妹とし居らば

　「思うお方がいらっしゃると知っていれば八重葎が覆った庭に玉を敷きましたものを」という歌に「いやいや、玉を敷いた立派な家も何てことはない。八重葎が覆った小屋でも愛しい人と一緒なら……」と答えています。
　侘び住まいの落ちぶれた女性のもとを、身分のある男性が訪れた時の歌なのでしょうか。

　もっとも、ここに出てくる「八重葎」が本日の写真の草といっていいかは、疑問。ムグラは蔓となって生い茂る雑草の総称らしく、それが八重に重なりあっている――というぐらいの意味なのかもしれません。