「朝日新聞はおかしい!」
数日前のことですが、家内が憤慨していました。朝刊の全面広告で〈朝日新聞デジタル版〉を売り込んでいるけれど、そのコピーが変だというのです。
数日前のことですが、家内が憤慨していました。朝刊の全面広告で〈朝日新聞デジタル版〉を売り込んでいるけれど、そのコピーが変だというのです。
見てみると、次のような文が――
- 言葉にすべきか、
- 言葉にしないべきか。それが問題だ。
何かのパロディか、間違い文の例として扱っているのだろうと、注意深くコピー全体を読んでみましたが、そうでもないようです。
自分の言葉できちんと意見を述べる記者は素晴らしい、というような内容が若い男の子の文体で書かれている。
「しないべき」がどう変なのか、言おうとする内容に沿って説明しようとすると難しいのですが、文法的には、助動詞「べし」は動詞にはつくが、形容詞にはつかない。「しない」は形容詞型の活用なので「べし」はつかず、「すべし」の反対は「せざるべし」となる、というようなことになるようです。
ただし、言葉は生きもの。「しないべき」をネットで検索してみると、ぞろぞろと使用例が出てきます。
加藤重広『日本語文法入門ハンドブック』(研究社2006年)にも、「参加するべきだ」の否定形は――「参加するべきではない」となるが、近年「参加しないべきだ」という言い方も聞かれる。ベキダは形容詞には直接接続せず、形容詞型のナイにも接続しにくいが、古典語のザルベシに相当する言い方として出てきたと思われる――とあります。
朝日新聞デジタル版の広告コピーは、新聞社に所属する者が書いたのではなく、市井の声を拾ったという形式なので、あえて若者言葉らしいものとして使用してあるのかもしれません。
でも、変。