午前中は庭のカイヅカイブキを剪定。まるまるお昼までかかりました。
午後は、明日が締切になっているアンケートの回答をつくったりしているうちに日没。
一日があっという間に終わってしまいます。
午後、眉村卓さんの訃報に接しました。享年85。
SF界の大先輩。というより、SFを読み始めた頃にはもう活躍なさっていた「雲の上の人」なんですね、本当は。
初めてお会いしたのは、1982年。8月に大阪梅田の大丸百貨店で「SFフェスティバル」と銘打った催しがあって、大原まり子さんや神林長平さんと「若手作家パネル」でご一緒したのですが、そこではもうひとつ「眉村卓・光瀬龍対談」もありました(百貨店の企画にしてはすごい豪華!)。その時、眉村さんと初対面のご挨拶を交わしたのでした。
眉村さんはデビューしたばかりの私のことをご存知で、「もうファン活動なんかで長いから」と温かく仲間入りさせてくださいました。
近年はお会いする機会がなく、もしかしたら、光瀬龍さんのお葬式の時(1999年)が最後かもしれません。あの時は、闘病中の奥様もご一緒でした。もう20年前のことですか。
「インサイダーSF」という概念を唱えられ、組織の中で苦闘する人間をお書きになることを自分の仕事とすると、作家になられた頃に言っておられました。その真骨頂は『消滅の光輪』や『引き潮のとき』などの「司政官」シリーズに顕著なように思います。
私が特に愛読したのは、SFからは離れますが、『夕焼けの回転木馬』(1986年)など、サラリーマンを主人公にした、現実と夢想の世界とが入り混じるようなファンタジーでした。人間の真情が「もうひとつの世界」の光景と照らし合う瞬間を描き、こちらの胸に共鳴するものを呼び起こしました。あの世界は、眉村さんが晩年にお書きになっておられた「私ファンタジー」に通じているように思います。
やわらかい口調でいつも丁寧に接してくださいました。どうもありがとうございました。