惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

渡哲也さん

2020-08-14 20:49:15 | ひと

 10日に亡くなられたとのこと。享年78。
 私にとっては日本映画を代表する男優さんでした。恥じらいと孤独を秘めた優しい表情が印象的でした。

 作品はなんといっても鈴木清順監督の『東京流れ者』(1966年、日活)。
 私が日本映画を集中的に見始めたのは1970年、大学に入ってからで、それまでの作品を手当たり次第に見ているなかで出会いました。ストーリーはなかば荒唐無稽ですが、耐えに耐えた末に弾ける鈴木清順美学と、それをみごとに体現した渡さんに痺れました。

 その後は、藤田五郎原作の現代やくざもの『無頼』シリーズ(1968~1969年、日活)。
 とどめは深作欣二監督の『やくざの墓場 くちなしの花』(1976年、東映)でしょうか。

 やくざ映画ばかりですが、人の好さを見せながらもいやおうなく暴力の谷間に落ち込んでゆく、あのやりきれなさは他の誰も表現できなかったと思います。ご冥福をお祈りします。