午後、横浜の日本新聞博物館へ。
2月からやっている「言葉の戦士・涙香と定輔――明治新聞人の気概を知りたい」の展示終了が明日に迫ったので、無理矢理時間を作ってでかけました。バイクにETCをつけたので第三京浜を走るのは楽ですが、風が強かった。
「涙香と定輔」の展示内容は、知っていることもあれば、知らなかったこともあり、色々と面白かった。
何より、明治の茶色く変色したよれよれの新聞を薄暗い照明の下で眺めるのが楽しい。古い新聞は広告が多かったんですねえ。時によっては一面の下3分の2ぐらいが広告で埋まっています。
興味の中心は「二六新報」の秋山定輔よりも、「万朝報」の黒岩涙香。探偵小説の始祖であり、翻訳王でしたが、展示されている著書の所蔵元がいずれも東京農工大となっているのが不思議。帰宅してネットで調べてみると、涙香のご子息・黒岩菊郎氏が農工大で先生をなさってらして、退官後、寄贈されたものらしい。同大に「黒岩記念文庫」が設けられているそうです。
涙香が自転車やビリヤード、五目並べ、百人一首など多くの趣味に打ち込み、世に広めるのに熱心だったことも、今回、知ったことのひとつ。自転車のコーナーでは、明治中期のイギリス製レース用自転車を展示してありましたが、黒色のダイヤモンドフレームも美しい、すっかり完成されたデザインであることに感嘆しました。
二人が得意としたスキャンダル報道も凄いですね。
涙香が連載した「畜妾の実例」では実名でずらずらと510例を紹介してあります(展示は伊藤博文らごく一部ですが、このキャンペーン記事は社会思想社の現代教養文庫として1992年に出版され、私も所有)。
「二六新報」がやった天狗煙草の岩谷松平への攻撃も面白い。親孝行な女性が生計を立てるため煙草屋を開いてやったので偉いと思っていたら、厭らしい自分の欲望のためだったはないか、と激昂した様子。当の岩谷氏が「二六新報」上に謝罪文を掲載し「拙者は今回の事例に鑑み社会の進運に伴ひ自家の素行を慎み家庭を改良し内外百般の改善を行ひ……」と反省しているのは、とりあえず立派というべきでしょうか。
帰途には同じ建物内にある新聞ライブラリーに寄り、所蔵資料や利用方法を確認。いずれまた出かけねば。
展示は入場料500円(リピーターは前回の半券を見せれば100円引きだとか)、ライブラリーは入場無料。
雨こそ上がったものの、今日もまだ寒い。防寒対策をしっかりとして、散歩に出ました。
コースはカニ山からハケを上って深大寺へ。深大寺から、今度はハケを下って野川へ出るという、比較的短いもの。
後半、野川へ出る途中の住宅地に、以前、輸入台所用品の店があった場所があります。しばらく前に閉店して、今は空き地になっているのですが、そこに見事なチガヤの群落がありました。野草は思わぬところに、思わぬ形で生えたりするものですね。
すでに花が咲いているようで、穂は茶色く粉をまぶしたようになっています。
こうなる前の、白く柔らかい穂は「ツバナ」といって食用になるそうです。図鑑には「かむとかすかな甘味がある」とあります。日本古来のガムのようなものでしょうか。そういえば、小さい頃、噛んだことがあるような気もしますが、味の記憶はありません。もう少し早くこの空き地でツバナに出会っていれば確認できたのに……。
最近、ガムをよく噛んでいます。だいたい毎食後にひと粒ずつ。
仕事中の眠気をなんとかしたいというのが、噛み出した理由。本を読んでいると、すぐに気を失ってしまう。これを防ぐ方法はないかと考えて、とりあえずガムを。
けっこう良いみたいです。特に食後、頭がボンヤリするのが少し良くなる。といっても、もともと大して良いわけではないので、そんなに能率が上がるわけではありませんが。
こちらで勉強すると、効能はほかにも色々あるとのこと。
弊害はおカネがかかることですね。小粒なわりにガムは結構、値が張る。どこかに抜け道はないものかしらん。