惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

イグアナ・ハンター

2007-04-29 21:23:41 | 本と雑誌

 お茶の水の全電通労働会館で開かれた「SFセミナー2007」へ。

 例によってバイクで出かけたのですが、連休中とあって都心の道路は車が少ない。スイスイ走れて、良い気持ちでした。

 セミナーは昼の部(10:45~16:00)と徹夜の合宿とがあるのですが、私が聴講したのは昼の部の、それも前半2コマのみ。事情があって(実は月末締切の仕事ができていない)早く帰りたかったのです。

 で、最初の企画は「〈奇想天外〉の時代」。かつてのSF雑誌〈奇想天外〉編集長だった曽根忠穂さんにあれこれ話をうかがおうというもの。
 曽根さんが話をするのですが、その仕事がどういうものだったかについてはゲストコメンテーターの高橋良平さんが明確に指摘。「第2次〈奇想天外〉は結局〈宝石〉をやりたかったんですよ」と高橋さんがいうと、曽根さんが「そう、そう」とうなずく。いささか奇妙なやりとりとなりましたが、それでもSF出版界の愉快犯たる曽根さんの仕事ぶりは伝わったようです。

 2つ目の企画は「アヴラム・デイヴィッドスンの思い出を語る」。
 故アヴラム・デイヴィッドスンは類例のない作風で知られる作家であり、また米国のSF雑誌〈ファンタジー・アンド・サイエンスフィクション〉の編集長でもありました。ゲストは彼の奥さんだったグラニア・デイヴィスさん。
 グラニアさんは快活でユーモラスなご婦人。しかも、翻訳家の中村融さんが興味深いポイントを突く、的確な質問をなさるので、非常に面白く、楽しいインタビューとなりました。
 博識で、さまざまなディテールを蓄積していたというデイヴィドスンさん。ユニークな作風の背景が見えてきます。
 また、英領ホンジュラスへ出かけた時、サンフランシスコに残ったグラニアさんと息子さんのところへ生きたイグアナのペアを届けたという話にはあきれ、場内、大爆笑。わざわざ本人が捕まえたもので、当時のサンフランシスコでは他に見られないほどに巨大だったとか。
 「つまり彼は著名なイグアナ・ハンターなのです(笑)」とグラニアさん。お茶目なデイヴィッドスン家の様子が目に見えるようでした。