金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

アルハンブラ・優雅なる憂愁~スペインの旅(4)

2005年06月21日 | スペイン旅行

バルセロナから空路グラナダに向かう。グラナダの空港から街に向かおうとタクシー乗り場に向かったが、タクシーがあまりこない。訝っていると色の濃いサングラスをかけた日本の中年女性が「ここではタクシーの市内=空港往復は制限があるのでバスで市内へ向かった方がいいですよ」と教えてくれる。でもその女性はやってきたタクシーとしばらく話をして「今回は行ってくれることになった」というのでタクシーでグラナダのホテル・アリナレスに向かう。このホテル(スペイン語風にはオテル)アリナレスは、アルハンブラ宮殿のすぐ横にあるのだが、そこへ行く坂道の入り口が進入禁止になっているため、狭い路地を迂回して漸くたどり着く。でもタクシー代は25ユーロ程だったので多少の遠回りは問題ではない。

alhambra4ただしグラナダ市街へタクシー乗り入れ制限については今後事前チェックが必要なところだ。ところで空港にいた日本人女性はどのような素性の人なのだろうか?とちょっと気になった。

さてアルハンブラ宮殿の核心部には入場予約が必要であることは日本にいる時から知っていたが、つい面倒で予約を取っていなかった。ホテルのフロントで相談すると「それなら英語のガイド付ツアーがあるからそれに参加するといい」と言われ一人40ユーロだが明日の参加を予約する。(ちなみに入場料だけなら8ユーロ)

この日は夕方から「市内乗合観光バス」でグラナダの街を回る。これは一人10ユーロのチケットで大小2種類のバスが24時間乗り放題というもので大変良いものだ。

上の写真はチビバスを使って行ったアルバイシン地区(世界遺産)のサン・ニコラス寺院広場からアルハンブラ宮殿の核心部を撮ったものだ。この広場はアルハンブラの展望台として大変有名なところだ。本来なら午後10時頃の薄暮の頃に憂いを秘めた宮殿の写真を撮りたいところだが家族連れではそうもいかない。

alhambra1 さて翌日のアルハンブラ宮殿ツアーである。10名程度の英米人と一緒にカルロス5世宮殿からスタートして、ナサリー王朝の王の宮殿であったコマレス宮殿を中心とした核心部に向かう(左の写真。この一角に入場時間指定がある)

静謐な水面に華奢な姿を写すコマレス宮殿は比類なく美しい。

華奢、華麗な軽さ、水と建物あるいは植物とコンビネーションが生み出す優雅さとその向こうにある儚さがアルハンブラだ。

敢えて今回のスペイン旅行の目的を一つ挙げるならそれはアルハンブラ宮殿である。

アルハンブラ宮殿はイスラム王朝の宮殿だが、そこにはオリエント時代からの文明が注ぎ込まれている。lion2

左の写真は「獅子の中庭」であるが、これはハーレムの中庭である。ガイドさんがいうにはアラビア風の暮らしは床に座る生活が中心なので目線を下げると大理石の柱がジャングルの樹に見え、ライオンが一層イキイキとするという。僕はやらなかったが床にへばりついて写真を撮っているおじさんもいた。

この12匹の獅子は太陽と黄道すなわち宇宙の運行をしめしている。これこそ古代オリエントにつながる文明の連鎖である。

アルハンブラ宮殿を築いたイスラム教徒の文明の高さに敬意を表するとともにそれを残したカトリックの王達にも敬意を表したい。彼らもまた「政治的な勝者が必ずしも文明上の勝者でないこと」を知るだけの叡知と謙譲さを持っていた言うべきだろう。

genelife 更に進むと王族の避暑地であるヘネラリフェにいたる。キリスト教徒による領土回復以後、9回も改修を受け原形を失ったと言われているが、噴水と植え込みの調和が美しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする