私のブログの中でアクセス数が多いのはヘッジファンドに関するものである。従ってヘッジファンド業界の動向についてはアップデートする使命?のようなものを感じている。足元のヘッジファンドは全体としては若干パフォーマンスが持ち直しているが、一方かなり大きくやられているところも顕在化してきたというところだろうか?ウオールストリート紙の最近のニュースの概要をご紹介する。
- かっては世界最大級のヘッジファンドマネージャーであったベガ(Vega)アセット・マネジメントの資産減少が続いている。ベガの運用資産残高は2004年7月がピークで104億ドルあったが、今年4月、5月と運用損が出たことと投資家が償還を求めたことから6月に7百万ドルの資産減少となり現在の運用資産は67億ドルになっている。
- ベガの責任者が投資家に送った手紙の中でベガは「運用損失は同社が最初にファンドを立ち上げてから8年半の間で先例のないもの」と言っている。
- ベガの6月の運用損失は同月最初に発表された予想よりも弱い雇用データの結果、米国長期国債利回りが低下したことに起因する。今年に入ってベガは多くのほかのヘッジファンドと同様、連銀の連続的な金利引き上げの中で米国国債の利回りが上昇すると考えていた。従ってヘッジファンドは債券価格下落に対応したポジションを取っていたが、結果は反対に動いた。ベガは6月初めに2つのファンドの「ポートフォリオのシステム的な清算」を行い、リスクを減少させるとともに損失を実現した訳である。
- 投資家は神経質になりトラブルの最初の兆候で償還を求めるようになっている。また第2四半期のヘッジファンドへの新規流入資金は前年同期に比べ35%減少している。実際世界最大の公開ヘッジファンド会社であるマン社は昨日第2四半期の運用資産はわずかに500万ドル増加し435億ドルになったと報じている。同社は今年後半については強気な見方をしているが、アナリスト達はヘッジファンドが保有するキャッシュを狙う銀行やブローカーとの競争激化からファンドセールスの減速を予想している。
- 一方明るい話では平均的にはヘッジファンドは6月にリバウンドしている。例えばHHRIの複合指数は6月1.59%上昇した。
以上が記事のざっとした内容であるが、ヘッジファンド戦略の中で既に大きな損失を出している転換社債アービトラージ(今年5.6%のマイナス)に加えて、ベガのようなグローバルマクロも米国債券や為替の予想外の動きで苦戦している様だ。