金融そして時々山

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エコノミスト誌、反小泉派を牽制

2005年07月25日 | 政治

郵政民営化法案についてエコノミスト誌は以前にも「参院通過見込み」という記事を書いて、小泉首相をサポートしているが今回も反対派を名指しで批判する記事を書いている。経済界には大きな影響力を持つエコノミスト誌だが、参院議員にどれ程影響力があるかは不明だ。しかし面白いのでポイントを紹介しよう。

  • 「日本の社会ではもし何かに反対するとネガティブなイメージを持たれる」と荒井広幸氏は言う。これは無害なクレームに聞こえる。誰が日本が調和重視の土地柄であることを否定できるだろうか?しかし荒井氏は日本文化の一般的な観察者ではない。
  • 荒井氏は自民党所属の参院議員であり、小泉首相が推進する郵政民営化に対する猛烈な批判者だ。荒井氏のような自民党の改革反対者は小泉首相を止めなければならない乱暴者と呼んでいる。
  • 小泉首相はもし法案が否決されると衆院解散・総選挙を行なうと脅しをかけている。小泉内閣は衆院で法案反対に回った副大臣4名を首にした。また自民党の倫理委員会は小泉首相に敢えて抵抗した51名の衆院議員に文章で説明を求めている。しかしこれらのことは、議会制民主主義を取る大部分の他の国では極めて標準的なことだが、最近の世論調査で選挙民はこのような戦術を好まないことが分かった。よって小泉内閣の支持率は低下している。
  • 「協調することを潔しとしない」負け犬組であると公言することで、自民党の反民営化派は政治的寝技を巧に使っている。しかしそれは同時に正直ではない。過去半世紀の大部分、政権を取ってきた自民党は党内反対派の意見を押さえつけながら、郵便局の巨大な資産と政治的力を利用してきた。
  • 古い自民党の見張り番達は、市場先導型の改革者小泉首相が現れるまで、党への忠誠心を求めることに一片の良心の呵責すら示さなかったのである。河野太郎氏の件を見てみよう。河野衆院議員は核燃料リサイクル法案に反対であったが、異議を記載するチャンスすら与えられなかった。
  • これに対して郵政民営化法案は自民党を活発な公開討論の場に変えている。決議の時期が近づくにつれ戦いは混乱の度合いを増し、小泉首相が負けた場合はカオス状態となるだろう。しかし真の改革を巡る本気の戦いには見るに価するものがある。

なお最近の日本の大手全国紙の調査では小泉首相の説明不足等政治的手法に問題ありとするものの、郵政民営化そのものについては支持派が反対派を上回っている。

元々一般国民には争点の見えにくい民営化議論であったが、国会での議論・採決が白熱化する中で国民の理解が高まってきたということは良いことである。そうすると一連の反対派の活動は大いに意義があったということになる。

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