金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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リーダーの器量(5)~執着あるいは持続する意志

2005年10月28日 | リーダーシップ論

今まで自分の直接体験をもとに、リーダーの資質を上げてきたが今日は「執着あるいは持続する意志」ということで、小泉首相を取り上げてみたい。小泉首相について私は世間一般の人以上の知識はないが「郵政改革」を中心とする諸改革を粘り強く推進していることは良し悪しは別として衆人認めるところだろう。靖国神社参拝もしかりである。私はここにリーダーたるものの一つの重要な資質を見る。

それは自分のコミットメントに対する執着であり、持続する意志の強さである。孫子が上げる将の資質で説明すれば「智・信・仁・勇・厳」の信にあたる。信は信念であり、信頼である。信念があるからそこに信頼が生まれるのであり、信念のないリーダーは信用することができないので信頼は生まれないのである。

自分の大きな目標~小泉首相の場合は「小さな政府に向けての行政改革」~に対する執着と地位に対する恬淡さ~総裁任期が来れば必ず辞めるという恬淡さ~が、小泉人気の源泉ではないだろうか?これに較べて凡百の政治家(というよりは政治屋)は、自分の政策目標に対する執着のなさと地位に対する執着の強さで悪臭紛々であった。

前回「恬淡」をリーダーの資質として挙げ、今回その反対概念である「執着」をリーダーの資質に数える。一見矛盾する様ではあるが、リーダーたるものは「執着」するべきことと「恬淡」と振舞うべきことを峻別して行動することができなければならない。リーダーたるものは大きな目標に執着し、些事には恬淡として臨むべきである。国家の大事にたずさわるものにとって己一身のこともまた些事と考える位の高い精神を持っていなければならない。

孫子が「地形編」で言う「進みて名を求めず、退いて罪を避けず、ただ民をこれ保ちて主に利するは国の宝なり」という将こそ名誉や地位には執着しないというリーダーの理想の姿なのである。

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