金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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住宅・車が不調でも米国経済は大丈夫か?

2006年12月14日 | 株式

今年の取引日も後10日足らずとなったところで、日本株が堅調になってきた。その理由は個人投資家の損益改善と外国勢が現物買いを進めていることだろう。また米国経済について楽観的な見方が強まっていることも大きな支援材料だろう。

米国では従来景気の先行指標である住宅建設と自動車販売が不振であるにもかかわらず、今回はリセッションに入らないという見方が強まっている様だ。14日のウオール・ストリート・ジャーナルはかなり細かい説明をしているがポイントを見ておこう。

  • 新規住宅着工件数の低下、自動車販売台数の低下、長短金利の逆転、これらは過去においてリセッションの先触れだった(1950年以降住宅着工数が低下した時8回の内、7回リセッションが起きている)が、連銀と証券業界は今回は過去とことなり、来年リセッションに入る可能性があるにしろその見込みは低いと判断している。
  • そう判断する理由は幾つかある。一つは住宅と自動車の販売不振は金利上昇によるものではなく、需給調整なのでその業界外に大きな影響を及ぼさないという判断である。この楽観論は11月のリテイルセールスが予想を超えて1%上昇したことで強まっている。
  • 金利に関して言うと通常は連銀がインフレ率に対して高い金利を設定することで逆イールド現象が起きるが、今回は短期金利が特段高いという訳ではない。むしろ長期の投資家がインフレ率が低いまま安定すると予想するので長期債が買われることで逆イールド現象が起きている。
  • また過去の住宅不況時とは異なり、今回は信用供与は極めて潤沢である。事実先週住宅ローンの申し込みは1月以来最高となっている。
  • 無論住宅と自動車はGDPの相当部分を占めるので、経済成長の鈍化は避けられない。過去3年間の成長率は平均3.8%だったが、エコノミスト達は2006年後半と2007年の経済成長率を2-3%と予測している。

来年にかけて金利に関しては日本でも短期金利は多少上昇するかもしれないが、長期金利は横這いないし低下するだろう。これは債券運用を行なう年金基金や生保等機関投資家にとって現在の長期金利水準は十分債券投資を行なえるレベルにあるからだ。これは株式投資にも居心地の良い金利環境だろう。

ということで暫らくは慎重ながらも少し強気姿勢で日本株を見ておこう。

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