金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

一年の計は年末にあり

2006年12月27日 | うんちく・小ネタ

ウオール・ストリート・ジャーナルをネットで拾い読みをしていると、表題のような記事に出会った。原題はYear end is timely for taking stock of career growthである。日本風にいうと「一年の計は元旦にあり」なので少し違和感があるが、欧米ではクリスマスを持って実質的に新年の始りとしていると考えると「一年の計は元旦にあり」という意訳の方が良いのかもしれない。

さてTake stock of だが「株を買う」という意味の他に「資源や見通しを鑑定する」という意味がある。この用例になるとネット上の英和辞典では出ていないので英々辞典で調べることになる。私はネット上でDictionary.com http://dictionary.reference.com/browse/を使うことが多いがかなり役に立っている。

話がそれてしまったが、ウオール・ストリート・ジャーナルの記事のポイントは次のとおりだ。

  • クリスタル・バークレー社というコーチング会社の社長は「私は年末の週を愛している。それは自分自身を振り返るすばらしい週だ」という。同社長は顧客に「この一年何を学んだか?」「どのような技術を身に付けたか?」「今の仕事が面白いか?」「次のステップは何か?」などと自問することを勧めている。
  • ライト・マネジメント社のキャリアコーチ、マシュー氏によるとクリスマス休暇中に突然会社を辞めるという意思決定をする人がいる。これは思ったよりも低いボーナス、悪い結果に終わった年末の人事面接あるいは自慢好きな親戚との会話によるプレッシャーで会社を辞めることを決めてしまうという訳だ。しかしこれは最良の選択ではない。辞めると決める前にマシュー氏は従業員に次のようなことを自問することを示唆している。「どれ位長い間自分は不幸だったか?」その答が「9ヶ月から12ヶ月以上」であれば転職のタイミングかもしれない。

私の銀行員時代の経験に照らして言えば、昇格・昇級時期の後辞める人が多かったということに思い当たる。辞めた人は「もし今度昇格するならこの会社で頑張ってみよう。でも昇格しないなら将来の見込みがないから転職しよう」と考えているのだ。

  • もう一つの良い質問は「私の不幸はどの程度ボス(直属上司)によってもたらされているのか?」・・・つまり転職するのではなく、ボスを変えることで問題が解決するかもしれない。次の要素は勤務先の財務的健全性である。もし勤務先の将来が不安定ならキャリア・パスはどこにでも見つけることが出来るだろう。しかし勤務先が成長しているのであれば、会社は別の仕事を提供してくれるかもしれないし、違うボスに仕えることもできるかもしれない。
  • 前述のマシュー氏はとにかく辞める前に信頼できる第三者に目標・目的について話をすることを勧めている。この第三者とは会社内部の信頼できるメンターであるかもしれないし、人事部の専門家かもしれない。

ここでHuman - resource departmentを人事部と訳した。これ自身は妥当な訳だろうが訳の問題は一度訳語になった場合、原語の意味を離れて訳語の意味に縛られるところだ。つまりアメリカの会社のHuman - resource departmentと日本の会社の人事部は同じと考えてよいのか?という問題である。この二つは相当に異なる。つまり日本の人事部は全社的に相当な人事権を持っているがアメリカの会社は人事権はそれぞれの部署のボスが持っている。典型的にはアメリカでは人事部は教育プログラムの提供等人材開発を担う部署であろう。

この記事を読んだ後、昔一緒に働いていたM君と久し振りに昼食を食べた。M君は少し前銀行の系列会社を辞めて外資系金融機関に転職したのだが「今の仕事はやりがいはあります」と言う。仕事の量は増えたがやりがいがあるので疲れを感じないとも言う。

私は今日本の会社~特にバブル後遺症からリストラを進めた会社~に欠けているものが二つあると感じた。一つはウオール・ストリート・ジャーナルに出てくるような転職する前に相談するべき信頼できる第三者である。会社の上司はどれ程自分のことを親身になって考えてくれるか分からない。所詮上司は自分の部署や会社の人繰りだけで示唆を与えるだけかもしれない。人事部も同様だ。無論中には私のように~言い過ぎか?~会社のことだけでなく部下のキャリア形成を親身に考える上司がいない訳ではないが、それは少数派だ。大切なことは会社が「制度としてキャリア形成について相談できる様なコンサルタントを持つ」ということではないだろうか?

もう一つ日本の会社で欠けているものはホワイトカラーの間の労働密度のバランスだ。深夜残業が連続する様なハードワーカーがいる一方楽に仕事をしている人間やそもそも仕事をしていない人間が多過ぎるのである。今日本では平均勤務時間とか平均残業時間などというものは余り意味がないだろう。勤務時間の格差の大きさ。この問題を是正しない限り日本の勤労者はハッピーになれない。これを是正する第一歩は経団連の主張とは正反対ながら「残業代の割増率を大幅にアップする」ということである。こうすると勤務先は残業を増やすより雇用を増やすインセンティブが生まれ、労働配分率が向上するのである。

少し話が大きくなったが、勤労者も会社も何かを考える年末年始であっても良いだろう。

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燻製の休日(2)~鶏の燻製

2006年12月27日 | 燻製

日曜日はクリスマスイブなので、鶏を食することにした。娘達はそれぞれの都合で外食するというので、ワイフと二人分ではやや多いが鶏のもも肉の燻製を試みる。Torikun2

【レシピ】

  1. 鶏のもも肉2枚に塩、胡椒を振りバジルをかけて冷蔵庫に3時間位で寝かせておく。少し肉汁が染み出る位になると良い。
  2. さくらチップを使って50℃で1時間燻製する。
  3. 燻製後数時間空気に晒し、スモーク臭を飛ばす。

そのまま食べても美味だが少し物足りない感じがした。マヨネーズをつけると一層美味くなった。

さて2枚のもも肉はさすがに多く残りがでた。残った肉は細く刻み翌朝のスープに入れた。私は寒い時期は朝野菜たっぷりの自家製スープを飲むことにしているが、このような残り物の肉を入れるとよく合う場合がある。

団塊の世代でソムリエならぬ「ソバリエ」(そばの愛好家、そばを手打ちする)が流行っているそうだが、私は燻製を中心にアウトドア系の料理の幅を少しづづ広げていこうと考えている。ただ問題は食べてくれる人だ。娘達はやがて独立していくだろう(またそうなってもらわないと困る)。ワイフと二人では食材が余りそうだ。「近所で同じような趣味を持つ人と仲間を作れると良いのだが・・・・・」などとワイフに話をすると「あなたは無愛想で人見知りするから駄目よ」と言われてしまった。

燻製を作るよりの人の輪を作る方が難しいということですかね。

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