金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

うづくまる薬の下の寒さかな

2006年12月13日 | うんちく・小ネタ

先日取引先の営業斡旋で頼んでおいた「えんぴつでなぞり書き 俳句百選」という本が来た。鉛筆で100の俳句をなぞり書きして声に出して読むと5歳脳が若返るらしい。スタートは最初から初めても良いが、その時の季節から始めても良いという説明があったので、冬の句から始めることにした。

幾つかある句の中で今日気に入ったのは内藤丈草(ないとうじょうそう)の「うづくまる 薬の下の寒さかな」である。内藤丈草は芭蕉の門人で20代後半に隠棲して禅を学んだ。この俳句は丈草が芭蕉を看病する様子を詠んだものだ。「うずくまる・薬・下」というマイナスイメージの言葉をたたみかけ、「寒さ」を強調する。

どうしてこの句に惹かれたかというと、まだこの前の山スキー事故の後遺症で左肩や右膝に痛みが残り、名倉整形外科にリハビリに通っているので、威勢の良い句よりも病(やまい)の句のように元気がないものに共感を覚えるのである。

 「肋(あばら)折り 咳に苦しみ 知る名医 」(北の旅人) これでは5・7・5になっているが俳句というよりは川柳の出来損ないのようなものだ。肋骨が折れていると咳をしても響いて痛い。たとえ名医であっても肋骨をすぐにくっつける様なあことはできない。ただしリハビリやマッサージなどで他の部分の痛みを緩和することはできる。自宅の近所の総合病院では「痛みがある」といってもぞんざいに扱われていたが、名倉医院は丁寧だ。

ところで丈草が看病した芭蕉は50歳で世を去る。芭蕉の死後三百年経って人の寿命は延びたが、芭蕉や丈草のような俳句が詠めるようになった訳ではない。凡人はただ先人の名句をえんぴつでなぞるだけである。

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