先週テレビのクイズ番組で、タレント達のIQをテストを行なっていた。5問中3問正解をすると勝ち残りという仕組みで問題がだんだん難しくなっていくというもので、IQ120位から先は東大・京大出身のタレントばかりが残っていた。彼等・彼女等の解答アプローチを聞くと「世の中には頭の良い人がいるものだなぁ」と改めて感じた次第だ。
ところでニューヨーク・タイムズに「12月のジャーナル・オブ・ファイナンスに発表されたレポートによると条件付だけれど、頭の良い人は投資が上手だ」という記事が出ていた。
仮にこの命題が正しいとすればその対偶である「投資が上手くない人は頭が良くない」という命題も正しいことになるが、昨今この対偶は物議をかもすかもしれない。
例えばAIJ投資顧問に多額の年金資産を預けて大損をした〇〇総合基金の運用担当理事などは、結論からいうと「投資が上手くない人」で「頭が良くない」ということになるからだ。
さて何故ジャーナル・オブ・ファイナンスに出た研究が条件付か?というとその研究がフィンランドでの実証的研究のみをベースにしているからだ。
フィンランドが何故研究対象になったというと、徴兵制を取るフィンランドでは対象男子全員のIQデータがそろう。またフィンランドでは資産税が課税されるので、対象者は投資ポートフォリオを政府に報告する義務がある。よって研究者はIQと投資行動の関連を調べることが可能である。
調査結果について研究者が到達した結論は「IQが高い人間は、個別銘柄選択に特段の才能がある訳ではないが、IQの高い人間は成功する投資の基本的なルール~例えば分散投資~をフォローする傾向がある」ということだった。
そして頭の良い人は素直に他人の成功体験を信頼する傾向があり、彼等は株式市場を信頼し、株式投資比率を高める傾向があることが分かった。
ニューヨーク・タイムズは「誰を信頼するかを知ること自体は知性の領域の問題であり、投資に関する意思決定は脳のブロードマンエリア10(前頭極?)に大いに依存する」と述べている。
この話をもう少し突っ込んで考えてみよう。投資というものは一人で行えるものではない。年金基金等の機関投資家になると、信託銀行や投資顧問会社に運用を委託する。個人でも証券会社や銀行で投信を買うことも増えている。
この時「信頼できる運用者」を選択する眼が投資のパフォーマンスの分かれ目になる。頭の良い投資家とは、信頼できる運用者を選ぶ眼を持っているかどうか?ということになるのだろう。信頼できる運用者を選ぶ眼というのは、より一般的にいうと信頼できるプロフェッショナルを選ぶ眼ということで、これは世の中を渡る上で常に必要なものだ。IQが高いとはそのような眼を持っているということなのだろう。