昨日(4月3日)NPO法人シニア大楽の依頼で、30名位のシニアの方の前で「円満な相続を進めるポイント」をいう話をしてきました。この催しは同法人が毎月開催している「講師のための話し方講習会」の4月講座です。講演内容は様々で「シニアが作る新しいコミュニケーションスタイル」(元NHKのアナウンサー)から「世界のリーダー達のユーモア」などです。
どちらかというと明るくユーモアに満ちた話が多いので、相続争い(争族)は多少場違いな感じがしないでもありません。(笑)
講演時間は20分と短いので、10のポイントに絞って話を進めました。
その内容はまず財産を残す被相続人の立場で4つ。
・オープンで隠し事のない家庭生活を送る
・エンディングノートの作成
・不動産への執着を捨てる
・遺言書の作成
円満な相続を実現するために、隠し事のない家庭生活を送るというのは、主客転倒・馬の前に馬車をつなぐような話ですが、多くの相続争いは内縁の妻(夫)や非嫡出子など複雑な家族関係に起因するものが多いのです。このような方は遺言書を残さないとかならずもめます。
隠すつもりはなくても、インターネット取引など「紙に残らない」取引が増えている時代。残された家族が探し物で苦労しないためにも、エンディングノートを作っておきましょう。でもエンディングノートというのでは、モチベーションはわきません。スターティングノートという発想の転換をしましょう。→「インフレ時代の人生設計術」(アマゾンKindle版に詳細説明)
不動産が貴重な資産という時代は終わりました。日本の空き家の数は8百万件以上。これは北海道+東北6県の全世帯数を上回る数です。やがて亡くなるあなたにとっては、思い出深い貴重な不動産でも、残される方にとっては重荷に過ぎないかもしれません。
「遺産の大半が分割できない不動産」「介護で特定の相続人・その配偶者に負担が偏っている人」「家族関係が複雑な人」「お子さんがいなくて、きょうだいがいる人」は遺言書を書いておきましょう。
次に遺言書がなくて、遺産分割協議の当事者になる相続人の立場で4つ。
・相続財産状況などは最初に正直に、正確に他の相続人に伝える
・「権利」ではなく「必要」をベースに財産分割を考える
・遺産分割協議は専門家に任せるのではなく、自分たちで解決する
・遺産分割ではお互いの気持ちを尊重することが大事
自分が被相続人に同居していて、財産状況を把握している場合、遺産分割を有利に進めるため、財産全体の開示を渋ることがあるようですが、これは絶対に避けるべきです。最初に隠し事をしていると他の相続人が感じると、不信感が生まれ上手くいきません。最後まで隠すことはできませんから、最初に相手の信頼感を得ることが大事です。
民法は法定相続分に従って、遺産を分けなさいと言っている訳ではありません。相続人の生活・経済状況など考えて遺産を分けなさいと言っているのです。ですから「権利」ではなく、自分の「必要」をベースに考えてみましょう。
遺産分割でもめたとき、まず専門家に相談するのはやめましょう。専門家は法律に基づいて「権利」の主張を勧めますが、それでは話がまとまりません。まず当事者で解決をはかり、大枠が固まった上で必要があれば、ポイントを絞って専門家に相談しましょう。
遺産分割では、お互いの気持ちを尊重する、相手の立場を理解するということが大切です。
最後に被相続人・相続人に共通する2つの重要なこと
・「相続の基礎」を勉強しておく
・自立した生き方をめざす
相続に困る前に勉強をしておきましょう。困ってから勉強をしても遅い。困る前にお勉強です。
経済的・精神的に自立した生き方をしましょう。遺産をあてにしなくても、子どもの介護に依存しなくても、終末を迎えることができる生き方を目指したいものです。
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