4月26日(日曜日)快晴、しかし風が強い日です。昨日ホテルでツアーに申し込んだ約10名で一日ツアーに出かけます。ただしどのコースを滑るかは、ロープウエイの山頂駅まで分りません。当日の天気や雪の状態を見て判断するということなのでしょう。
9時始発のロープウエイは満員で次のロープウエイで山頂駅へ。風速15,6メートルと風が強く、時々ロープウェイが止まりました。
全員揃ってツアーに出発したには午前9時51分。どうやら八甲田山のツアーコースで一番長い箒場岱ルートに行くようです。
まずツボ足で田茂萢岳(たもやちだけ)へ。そこから一度谷底に滑ります。
下で見ていると沢山の山スキーヤーが滑ってきます。ここを左に滑っていくと「宮様ルート」で酸ヶ湯温泉まで降ることができます。
滑り降りたところの標高は1,999m。ここから井戸岳中腹(1,511m)まで標高差約500mの登りです。シール組とスキー担ぎ組に分かれて登ります。ガイドさんの一部やツアー客の一部には、スキー板の裏に「うろこ」がついた板を使っていました。これだとシールなしにある程度の斜面を登ることができるので便利そうです。ガイドさんに「滑り具合」と聞くと「それほど抵抗はありません」という返事でしたので、「うろこ板」も山スキーの選択肢の一つだ、と思いました。まさに「目からうろこ」ですね。
11時35分大岳ヒュッテ到着。ここから井戸岳当面の斜面をトラバース気味に登り、12時15分井戸岳と赤倉岳の鞍部に到着。
大岳に向かって登っていく人が見えました。大岳環状ルートを滑るのでしょう。
しばらくスキー担ぎ組を待ちました。スキー担ぎ組は強風の中井戸岳の夏道を越えてきました。風でスキーが煽られて大変だったそうです。
目の前に高田大岳がそびえています。この斜面も山スキーヤー垂涎の斜面だそうです。
12時32分シールを外して、赤倉岳東面の無立木の大斜面に飛び込みます。このルートは3月中は閉鎖(おそらく雪崩のリスクあり)、4月から開放しているとのことでした。
大斜面をあっという間に滑り切るとあとは、ブナやアオモリトドマツの疎林帯をゆっくり滑りました。
13時25分標高708m付近で遅いランチ。
ガイドさんが持参のスコップで雪のテーブルと椅子を作ってくれました。またキクラゲ・舞茸入りの味噌汁も振る舞われました。
ツアー客の中には持参の赤ワインの栓を抜く人もいました。恐らく何回かツアーに参加して、ツアーの楽しみ方をご存知なのでしょうね。
まわりにはブナの巨木が立っています。
ブナ林を春の爽快な風が吹き抜け、気分は最高でした。
山屋として最高のひと時です。日本は世界的に見て、最も山スキーに適した山と雪に恵まれた国です。その中でも八甲田山は素晴らしいの一言に尽きます。山屋としてこの贅沢な世界に遊ぶことができたことに感謝します。
また同行のスキーの大ベテランHさん、Iさん、ヒマラヤ登山経験のある山の大ベテランSさん、長年の山仲間の畏友Nさんと楽しいひと時を過ごすことができたのも良い思い出になるでしょう。13時50分再びスキーを履いて、すっかり傾斜がなくなった疎林を滑っていきます。14時25分箒場岱のパーキングに到着。標高613m。こうして標高差9百メートル、距離約15kmのスキーツアーは無事終了しました。