先週13%下落した上海総合指数は、昨日(6月26日)また3.5%近く下落した。
中国株について弱気の見方をするストラテジストの中には、これから更に5割の下落の可能性があると述べる人もでてきた。
CNBCによると、RMG ウエルス マネジメントのリチャードソン氏は「今中国株のバブルがはじけている。個人投資家が牽引してきた急騰相場の結果株価のバリュエーションは2000年に米国でITバブルが崩壊した寸前のレベル以上に過激な状況になっている。中国経済の成長鈍化と企業収益が低迷していることを考えると今後50%の株価下落に可能性があり、我々は中国株から手を引いている」と述べている。
WSJによると過去2年間ほど、エコノミストたちは日本のバブル崩壊と中国の現状を比較し、共通点と相違点を探ってきた。
共通点は、異常に高騰した不動産価格の崩壊とその後の株式の暴落、そしてデフレの進行だ。HSBCによると中国の卸売物価は根深いデフレの4年目に入っている。一方日本の卸売物価はバブル崩壊が明確になる1991年末まで下落を始めなかった。デフレ面では中国の方が深刻かもしれない。
しかし中国と日本の大きな相違点は二つある。一つは経済発展のステージの違いだ。日本は1980年代には人口1人当たりGDPでは先進国レベルに達していたが、中国はまだ1人当たりGDPは中心国レベルだ。中国経済には先進国ステータスにキャッチアップするという伸びしろがある。これは間違いなく中国にとってプラス材料だ。
もう一つの違いは中国は計画経済の様相が強いということだ。これは中国政府が政策面で日本よりはるかに大きな柔軟性を持っていることを意味する。だが一方でそれは金融改革と企業再編が停滞するというマイナス面を持っている。HSBCは日本政府が金融改革と企業再編に真剣に取り組んだのは2002-2004年からだという見方を示している。また企業が本格的に株主の方に顔を向けだしたのは、アベノミクスによるコーポレートガバナンスの強化とスチュワードシップ・コードの導入が大きな契機となったと後世のエコノミストは書くだろう。バブル崩壊から実に四半世紀後の話だ。中国企業がここまで到達するにはどれ位の時間がかかるのだろうか?
私は中国株が5割の下落を見るかどうか判断に迷うが、宴のツケは大きく、中国株の低迷は続くと考えている。