金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

FOMC議事録、日米株価は異なる方向感を示す?

2019年02月21日 | 投資

昨日(2月21日)米連銀は1月29・30日に開催された連邦公開市場委員会の議事録を公表した。その中で連銀は2017年に開始したバランスシート圧縮を中止することを近々公表するとした。

また景気については昨年末よりやや弱気な見方を示し、引き続き政策金利の引き上げについて慎重姿勢をとることが明らかにした。

米国株は連銀のバランスシート圧縮がストップすることを好感して小高く引けたが、今日の日本株は少し値を下げそうだ。

これは恐らく連銀議事録を詳しく読み込むと、米国の景気減速懸念の原因は中国・欧州の景気減速にあり、米連銀は景気減速に備えて金融政策の現状維持と様子見スタンスを発表したことがわかるからだ。

つまり中国・欧州の景気減速に焦点を当てると、その影響をもろに受ける日本の景気の先行きの懸念が高まる訳だ。だから日本株は値を下げる。

もっとも株価は様々な要因で動くから、このまま米国株上昇・日本株下落といった単純な動きをする訳ではない。

むしろ連銀が警戒するように、米国長短金利の接近・逆転は1,2年後のリセッションを示唆している可能性が高い。景気は循環的なものなので必ずリセッションはある。その谷の深さは分からないが。

リーマンショック以降世界の中央銀行は、政策金利の引き下げとバランスシートの拡大で景気浮揚を図ってきた。景気回復が先行した米国は政策金利の引き上げとバランスシートの削減を始めたが、正常化の過程で再び地平線にリセッションの影がちらつき始めたようだ。

米連銀の場合僅かながらリセッションに対して金融緩和政策を取る余地がある。なぜなら政策金利を度々引き上げた結果、引き下げる余地を生み出しているからだ。もっとも糊代は大きいとは言えないが。

一方超緩和政策を取り続けている日本の場合、リセッションに対して金融緩和策を取る余地はまったく乏しい。

つまり体が伸びきっていて反発力を生み出す余地がないのだ。

このように見ると米国株価水準と日本株価水準は拡大することはあれ縮まる可能性はない(短期的にはfluctuateするが)。

この基本的な視座を持たずに資産運用を考えるほど危険なことはない。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする