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映画「杉原千畝」~大島浩を考えてみた

2015年12月12日 | 映画

昨日「杉原 千畝 スギハラ チウネ」を観た。第2日世界大戦勃発時にリトアニア領事を務め、迫害されていたユダヤ人にヴィザを発給し、多くの人命(6千名以上と言われている)を救った杉原 千畝を主人公とした映画だ。

杉原はユダヤ人の人命を救ったことで後に名前を知られるようになったが、もう一つ注目するべき点は彼が情報収集に基づき、冷静に日本の敗戦を予想していたことだろう。

杉原(唐沢寿明)は、上司である駐ドイツ大使・大島浩(小日向文世)にしばしば「ドイツがソ連と戦争を開始すれば、日本は米国と戦争を開始することになる。それは大変危険なことだ。」と大島大使が推進する三国同盟を止めるように進言するが、大島は聞き入れない。そして大島は杉原にルーマニア赴任を命じる。「ルーマニアではなにもしなくていい」と言って。

最後に杉原は「私の個人的な予測ですが、日本は負けることになると思います」といって大島の前を下がろうとする。しばしの沈黙の後、大島は杉原を呼び留めて「お前の予想は当たるからな」とポツンといったことが印象的だった。

だがヒットラーに心酔する大島は杉原の諫言を聞き入れず、国の進路を左右する重要な情報を正しく、本国に伝えることなく、日本とドイツは連合国との勝ち目のない戦(いくさ)に突入していった・・・・

外交官として自分の眼で見て集めた情報を冷静に分析し、国の進路を誤らせないように諫言した杉原。ヒットラーに心酔し、冷静な情報分析を怠り、自分の信念を外交政策に投影して国を誤らせた大島。大島は極東軍事裁判でA級戦犯となり、終身刑の判決を受けた。

ここで問われたのは外交官や政治家における「反知性主義の危うさ」である。

大きな世界史的視点と現実の客観的な情報分析を持たずに、自己の世界観で外交や軍事を考えることの危うさである。大島浩は他山の石なのである。

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