昨夜Liveでオリンピックの女子バレー日本対中国戦を見ていた。まさに手に汗を握るような熱戦。最終セットはピンチサーバーに起用された中道のサーブポイントが決まって24年振りのベスト4進出が決まった。
一方女子卓球団体は中国が日本をストレートで下す圧倒的な強さで堂々の金メダルを取った。
途中経過だが、中国が獲得したメダル数は73(うち金が34)で2位のアメリカ(メダル数70うち金が30)を凌駕している。
「中国はどうして沢山メダルを取ることができるのか?」ということには多くの人が関心を持っているのだろう。クオーラ(高品質のQ&Aサイトと言われている)にも幾つか解説が出ていたので、ちょっと紹介しよう。酒の席で溜飲を下げるも良しである。
【人口が多い】
中国には13億人の人がいるので、スポーツ能力の高い人の数も比例して多い。
(私のコメント)一つの有力な要素だが、人口の多いインド(メダル数3)、インドネシア(メダル数2)のメダル数が少ないことをどう考えるか?という問題点がある。ちなみに人口比のメダル数でいうと人口176万人で銅メダル1つを取っているカタールが一番効率的だ。
【多種目に大量の選手団派遣】
かって中国のお家芸といえば、卓球、体操、飛び込みなどだったが、現在では競泳、セーリングなどでも金メダルを取っている。多くの競技種目で世界的な選手を育成しているが大量メダルの要因だ。
【複数のメダルが取れる種目に注力】
中国は体操のように一人で複数のメダルが取れる種目に強い。
(私のコメント)日本で一番金メダルを沢山獲得した人は体操の加藤沢男。メキシコ、ミュンヘン、モントリオールの3大会で、団体・個人総合・種目別合計8つの金メダルを獲得した。まさに体操ニッポンの時代だったのだなぁ。
【体育学校とソビエトシステム】
中国では潜在的な運動能力が高いと思われる児童を選別して、体育学校で毎日8時間から12時間程度(おそらく)訓練を実施する。
優秀な選手はフルタイム・アスリート、つまり運動が仕事、いわゆる旧ソ連と同じく、優秀な選手には国が給料を払っているのだ。
【国威発揚】
中国がこれほどオリンピックでのメダル数に拘るか?というと、それは国威発揚のためだ。中国政府や多くの中国人は世界は中国に否定的な見方をしていると思っている。だから中国は素晴らしい国なのだ、ということを世界に示すには金メダルが必要だと考えている。
【外人コーチの採用・女子種目への資源配分】
中国の競泳には目を見張るものがある。孫楊は1500m自由形で驚異的な世界記録で金メダル。中国競泳陣の躍進の裏には「オーストラリア人コーチの採用」や「海外遠征」があると言われている。
また選手層が薄くメダルを狙いやすい女子の種目、特に団体種目の強化に力を入れ、資金等のリソースを傾斜配分しているという分析がある。
以上「中国がメダルを沢山取ることができる」理由について、主な意見を抜粋してみた。
中国に次ぐ人口大国のインドやインドネシアのメダル獲得数は中国の数十分の一程度。この違いはどこからくるのか?
一つはスポーツ=広い意味の「武」というものに対する考え方の違いかもしれない。
歴史的に中国は「体を動かすこと」=「武」を軽視し、精神的な活動=「文」を重視してきた。諺に「良鉄は釘にならず 良人は兵にならず」という。インドネシアは知らないがインドも似たような伝統がありそうだ。
だが中国はそのような伝統的価値観を離れ、スポーツ重視に転換。これは経済のステージの進展による価値観の変化なのか?
経済の発展による身体能力や技術の重視、競争重視、国威発揚、それを可能にする経済力、技術力、豊富な人口・・・などのコンビネーションが中国のメダル数を増やしている。
そう考えると中々奥が深い話だ。
論語に「君子は争うところなし。必ずや射か」という一節がある。君子は争わない。争うことがあるとすれば、それは弓の腕前を競う位だ。勝った方が負けた方に酒を奢り、怨みを残さない。これが君子の争いというものだ・・・・という話だ。
オリンピックはまさに「射」である。世界の国が争うのはオリンピック位か、という時代になれば良い。中国のメダル執着もこの文脈からは悪い話ではないか・・・・・
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